CDショップをのぞいてみれば、最近もいろいろなアーティストのベストアルバムが発売されている。
ヒット曲満載のベストアルバムは初めて聴いてみようという人にはたいへんありがたいものだが、熱心なファンからすればちょっと複雑な気持ちになることもあるのではないか?
というのも、ベストアルバムに収録されている曲の大半はオリジナルアルバムに収録されており、新曲やアルバム未収録曲がなければわざわざ買う必要のないアルバムとなるからである。
すべての曲が他のアルバムに収録されているなら、熱心なファンは買ってくれないから、たいていの場合、新曲やら未発表曲などを収録して熱心なファンもほしくなるようなアルバムにして発売される。
そして、たった1曲か2曲のためにベストアルバムを買うことにもなる。
ベストアルバムは数年ごとに発売されたりするから、さらに困りものである。同じ曲がいくつものアルバムに収録されることにもなるし、聴かないアルバムが増えるだけのような気もしてくる。
ベストアルバムは基本的にヒット曲の寄せ集めである。
アーティストによっても異なるが、オリジナルアルバムの場合、アルバムごとにコンセプトがあって、アルバム全体として一つの作品となるように作られているものも少なくない。
しかし、ベストアルバムでは、そうしたコンセプトなどまったく関係なしの寄せ集めだから、アルバム全体として一つの作品と捉えることはできない。
だから、私は好きなアーティストに関してはベストアルバムがあまり好きでない。
1992年に発売されたABBAのベストアルバム「ABBA Gold」は1999年までに全世界で2500万枚売れたとかで、ABBA再評価に大きな役割を果たしたようであるが、個人的にはまったく興味のないアルバムである。
さて、昨年12月に発売されたエンヤのベストアルバム「The Very Best of Enya」には、やっぱり初めてCDに収録された曲があった。
「Aniron」の未発表ヴァージョンである。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」のサウンドトラックアルバムに収録されていた曲とは別のヴァージョンらしい。(もっとも、このサントラ盤はエンヤの曲が2曲しか入っていないので、私は買わなかったのだが・・・。主題歌の「May It Be」はシングルを購入していた。)
今回のベストアルバムにはCD1枚ものの通常盤とCD+DVDの初回限定盤があるが、通常盤と初回限定盤では収録している曲が大きく異なっている。
通常盤の方は初期の曲から最近の曲まで、偏りなく収録されているが、初回限定盤のほうはかなり偏りがあって、2000年以降の曲が多くて、それ以前の曲が少ない。
初期の曲よりも最近の曲がヒットしたとかいうならまだわかるが、そうではなく、なぜあの曲が収録されていないのか? と疑問に思う点も多い。1997年発売のベストアルバム「Paint the Sky with Stars」との重複を少なくするためなのか? あるいは、その分はDVDで補っているということなのかもしれないが、初めて買う人には通常盤の方がいいかもしれない。
DVDには、やはり初DVD化の曲が3曲入っているが、大半は既発である。とはいえ、今回、5.1chサラウンドとなっている点は良い。でも、「Book of Days」が収録されていないのはマイナスポイントでしょう。
ブックレットはなかなか豪華でほしくなる。
でも・・・
これを買っても、実際に聴くのは1曲だけ。
それじゃーなー・・・