キリストの遺骸を包んだとされるトリノの聖骸布から採取された人間の真皮細胞は驚くべきことに生きていた。そして、そこから密かにキリストのクローンが作られるところから始まる。
イスラエルでテロが激化し、世界中で突然、数千万人が死亡するという謎の「大惨事」が起こり、アラブ諸国がイスラエルに侵攻したのをきっかけに、ロシアが動いて、核攻撃をするが・・・
その後、国連安全保障理事会が再編成され、国連管理の下、一旦は世界平和がもたらされたが、国連の優れた指導者が倒れると、世界はまたさらに暗い方向に進んでいく・・・
どうやらこの小説は黙示録の世界を現代風に表現しようとしているようである。
三部作の第一作ではキリストのクローンであるクリストファーが国連安全保障理事会のヨーロッパ代表メンバーになるまでが描かれている。ここまででもすでに世界的な災厄に見舞われているのだが、第二作に入ると、さらにエスカレートしてくるらしい。驚天動地の展開が見られるらしいので、早く続きを読みたいものである。
トリノの聖骸布やら約櫃など聖書に関する謎が、SF的な考え方によって解き明かされるのもおもしろいというか大胆というか。
ちなみに、映画「レイダース 失われた聖櫃(アーク)」により日本でもお馴染みの約櫃であるが、この小説でも約櫃を触って死んでしまう人がいた。恐るべき力である。