次世代DVDの規格をめぐってブルーレイとHD DVDが争って、2008年、ブルーレイが勝ち残ったものの、普及の度合いはまだまだのようである。
しかし、それ以上に普及していないのが次世代CDである。
SACD(スーパー・オーディオCD)とDVD-Audioという2つの規格があるが、どちらもほとんど普及していない。
最近は、CDよりも音の悪いインターネットでの音楽配信が増えてCDの販売数が減っているくらいだから、そもそも次世代CDなどいらないという人が多いのだろう。
しかし、SACDやDVD-Audioは単にCDより高音質というだけでなく、5.1chのサラウンドに対応しているので、もっと普及してほしいところである。
もっとも、パソコンでも再生できるCDやDVDとちがって、SACDやDVD-Audioはパソコンでは再生できないし、本格的なAVアンプも必要になってくるから、現状ではなかなか普及は期待できないようである。
SACDとDVD-Audioの両方に対応したユニバーサルプレーヤーというのも安く売られているので、一度は買おうと思ったのだが、よくよく調べてみると、私が今使っているアンプでは5.1chの再生はできないことがわかった。
私のアンプはDVDビデオのDolby DigitalやDTSの5.1chには対応しているのだが、SACDやDVD-Audioの5.1chには対応していないのである。
SACDやDVD-Audioを5.1chで再生するためには、マルチチャンネルのアナログ入力端子が必要なため、本格的なAVアンプを買わなければならないとわかって、ユニバーサルプレーヤー購入は断念したのだった。
さて、昨年、結成40周年を記念して再発された「クリムゾン・キングの宮殿」はCD+DVD-Audioで、DVD-Audioでは5.1chのサラウンド・ミックスが収録されていた。
この5.1chのサラウンド・ミックスを聴いてみたいのだが、現状では再生できる環境がないので、購入も思いとどまっている状態である。(DVD-Audio非対応の普通のDVDプレーヤーでも5.1chで再生可能だが、あくまでもDVDビデオの音声として再生できるといったもので、高音質のDVD-Audioには劣るものである。)
キング・クリムゾンのファースト・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」は、ロックの歴史を語る際、必ず出てくるアルバムで、聴いたことはなくてもジャケットだけは見たことがあるという人も少なくないだろう。
ビートルズの「アビー・ロード」を全英チャート1位から引きずり下ろしたアルバムとして紹介をされることが多かったが、実際に1位にはなっていないらしい。しかし、本当に1位になっていて不思議のないアルバムである。
40年たった今聴いてもすごいアルバムで、当時は本当に斬新であったのではないかと思う。(といっても、当時の音楽はビートルズなどいくつかのバンドしか知らないから、実際どんなだったのかは知らないのだが。)
このアルバムは美と狂気が入り交じり、叙情味があって荘厳な音楽なのだが、1曲目の「21世紀の精神異常者」から驚かされる。極端に歪んだヴォーカルが普通ではないし、最後のドラミングなどはデタラメに叩いているとしか思えなかったりする。とはいっても、曲そのものがめちゃめちゃなわけではない。(ちなみに邦題は最近「21世紀のスキッツォイド・マン」というわけのわからない題に改題されている。)
一転して2曲目の「風に語りて」は穏やかなサウンドになり、なんとも激しい落差に驚かされる。グレッグ・レイクのヴォーカルも良いし、フルートが耳に心地よい。
そして、3曲目の荘厳な「エピタフ」に圧倒される・・・
クラシックやジャズの要素を取り入れた深遠なロック。
40年たった今でもこのアルバムの凄さは変わらず、これから先も新たなファンを獲得していくことだろう。