新古書店が好きでない。
二束三文、ただ同然で買い取って安く売る新古書店はどれだけ本が売れても作家に利益が還元されることはないから作家の敵とも言える。
紙の本は文庫本でもあっという間に増えていって書棚はいっぱいになり、置き場がなくなってしまう。買った本がすべて再読に値するような本であるわけもないから、不用な本を処分するのはいたしかたないことである。しかし、ごみとして捨てるというのは心理的な抵抗もあり、誰かに譲渡するかさもなくば古書店に引き取ってもらうほうがよいと感じられる。
それで、まあ、新古書店に引き取ってもらうこともあるわけだが・・・
どうもお店の雰囲気が好きになれない。
当然のことながら、新古書店はリサイクルなどとは無関係である。商売をしているに過ぎない。そして、新古書店は本をモノとしてしか見ておらず、作家やその作品に対するリスペクトなどはまったく感じられない。
そんなわけで、新古書店が好きになれない。
電子書籍が普及すれば、新古書店は必要なくなる。
電子書籍はけっこう増えてきたものの、まだまだである。
早く電子書籍が普及してほしいものである。
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「30キロ過ぎで一番速く走るマラソン」
サブスリーを目指すランナーでもこういう走り方をしている人は少ないだろう。
35km以降ペースダウンすることを考えて、前半貯金を作っておこうと考える人もいるだろう。
私に関しては、イーブンペースが一番と思っていた。
前半に貯金しても、終盤ペースダウンしたら簡単に貯金など使い果たしてしまうからだ。
前半ゆっくり走れば、その分終盤に余裕を残すことになる。
だから、中間地点を1時間29分台で走っていくことが多かった。
終盤もペースダウンしなければサブスリーで走れたし、ペースダウンしたときは3時間を切れなかった。
こういう走り方をしていると、前半はけっこう抜いていく人がいるものの、後半はほとんど抜かれることがなかった。後半ペースを上げる人など本当に少ないのだ。
といったわけで、小出監督の本のタイトルを見て、どうかと思ったものだ。
しかし、私がいい結果を出せたときの記録を見ると、多くの場合、後半にペースが上がっていたのである。
そうしてみると、やっぱり後半でペースを上げる走りが良いというのは正しいようである。
ちなみに、小出監督の本はサブ4・サブ3を達成するための練習法が書かれているようだが、もはや記録を目指していない(フルマラソンも走っていない)私は中身を読んだわけではない。
サブスリー達成のためには長い距離を走るだけでなく、心肺に負荷をかける練習が必要であり、具体的な練習法が書かれているらしいので、記録を目指す人には参考になりそうである。
2013年に読んだ本から
書こうと思いつつ書き損ねていた本をいくつか紹介。2013年ももうすぐ終わりとなるので、手短に。
「楽園のカンヴァス」
アンリ・ルソーの名作「夢」と同じ構図、同じタッチの絵は真作なのか贋作なのか?
真作だったら、たいへんな発見だが、贋作だったとしても実はたいへんな秘密が隠されており・・・
美術に関する知識や興味のない人にもお勧めできる本である。
第25回山本周五郎賞受賞、第10回本屋大賞第3位というのは伊達じゃない。
陸上競技をテーマにした小説を2つ読んだ。
「一瞬の風になれ」は短距離を扱ったもの。100m、200m、400mリレー(4継)といった競技だが、この小説では400mリレーがメインである。
私は長距離専門で短距離はまったくダメだが、そんなことは関係なしに楽しく読むことができた。全3巻だが、あっさりと読んでしまった。
2007年に本屋大賞、吉川英治文学新人賞を受賞。
「風が強く吹いている」は箱根駅伝をテーマにしている。
たった10人(しかも大半は陸上未経験者)で箱根駅伝に挑むというもの。
未経験者が短期間にこんなに走れるようになるなんて現実には絶対無理だが、そんな理屈はぬきにして楽しめる小説だった。
どちらも走るのが好きな人でもそうでない人でも楽しめる本である。
「空中ブランコ」
精神科医・伊良部を主人公とした連作短編小説。伊良部はカウンセリングを受けようと思って来た患者に、「話をしただけで治るわけない」と言ってしまうのだから、まともな医者ではない。注射が好きで、患者にはとりあえず注射するのだが、看護師マユミが注射するのを興奮しながらじっと見ているのである。子どもがそのまま大きくなったような人間で、空中ブランコ乗りが患者としてやってくれば、自分も空中ブランコをやりたいと言って実際にやってしまったり・・・
まったく笑っちゃうような話ばかりで、おもしろい。
第131回直木賞受賞作というのも驚き。直木賞は大衆小説を対象とした文学賞だからいいのか。
「殺し屋」小説
「グラスホッパー」
何となく読んでみたら、やたらとおもしろいではないか・・・
ナイフ使いの蝉はまあ普通の殺し屋とも言えるが、鯨は自殺専門の殺し屋で、相手を自殺に追い込むという変わり種である。自殺しないと家族に危害を加えるといった脅しをするのだが、それだけでなく、鯨に見つめられると誰もが自殺してしまうのだから、一種の超能力のようでもある。「押し屋」という殺し屋は交差点や駅のホームで後ろから押して殺すというもので、それでつかまらずにいるのだから、芸術的とでもいうのだろうか? 他にも「劇団」やら「スズメバチ」などいろいろな業者が入り乱れる。
個性的なキャラクターばかりで、なんともおもしろい。これぞ、まさしくエンターテインメント!
「マリアビートル」
「グラスホッパー」の続編。
憎たらしい狡猾な中学生の王子、やることなすことついていない七尾、機関車トーマスが好きな檸檬、文学好きな蜜柑などなど、またまた殺しを何とも思わない個性豊かな人たちが大集合。
東京駅から乗った新幹線でトランクを盗んで上野駅で下りるだけのはずが、ついていない七尾は上野で下りられず、大宮でも下りられず・・・
東京から盛岡まで向かう東北新幹線の車内で繰り広げられる殺し(というか笑い?)
こんなおもっしろい小説だったとは知らず、びっくりだった。
「インフェルノ」
ラングドンシリーズの第4作が発売になったので、さっそく読んだ。
病院で目を覚ましたラングドンは頭部を負傷しているが、2日間の記憶を失っており、自分がなぜフィレンツェにいるかもわからないという状況でスタートする。しかも、謎の襲撃を受け、わけがわからないままに逃走することになる。
最初から波乱に満ちたストーリー展開である。
ダンテの「神曲 地獄篇」に導かれながら、フィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールと舞台を移しつつ、多くの歴史的建造物や美術品が登場するのは「天使と悪魔」や「ダ・ヴィンチ・コード」と同様である。
「インフェルノ」で問題となるのは人口爆発である。
1900年に約16億5000万人だった世界総人口は2000年には約61億人に達し、2050年には90億人を突破する見込みという。(Wikipediaより)
(この先、ちょっとネタバレ・・・というほどでもないか?)
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