原尞さんの14年ぶりの新作「それまでの明日」が発表されたので、さっそく読んだ。1988年のデビューから30年となるが、長編小説はこれが5作目。他に短編集1冊とエッセイ集があるが、非常に寡作な作家である。長編小説も短編集も主人公はすべて私立探偵・沢崎である。チャンドラリアン(レイモンド・チャンドラーのファン)である原尞さんの小説はチャンドラーの世界を日本において再現しており、チャンドラーの小説を好きな人なら、原尞さんの小説も楽しんで読めるだろう。
チャンドラーも寡作で長編小説は7冊しかないが、こんなところも似ている原寮さんである。しかし、寡作ではあるが、はずれはない。今回もしっかり楽しませてもらった。次の作品がいつ発表されるかわからないが、気長に待つことにしよう。