丹沢のあちこちで見られるシカよけの柵。
せっかく自然の中に行って、人工物を見るのは楽しいことではない。
しかし、シカの食害は深刻で、最近は南アルプスでも柵が設置されていたりする。
丹沢に行き始めた頃は今と比べてヤブが多かった。
以前はヤブが多かったと思っていた場所が、いつのまにかすっきりとしてしまっていたりする。すっきりしたと言えば聞こえはいいが、実際にはそんなお気楽な問題ではないようである。急速にヤブが衰退してしまったようである。
柵の中はすごいヤブなのに、外側にはヤブがまったく少ないのを見れば、シカの食害の凄さがよくわかる。
こうした柵の内側で希少植物が見つかっているという話も聞く。確かに、あれだけヤブがあるのだから、珍しい花が咲いていても不思議でない。けっこうシカに食べられてしまう花もあると聞くが、柵の中で復活していたりするのだろう。
そう思うと、シカよけの柵もなんだかありがたく思えてくる。
ヤブがなくなって、登山道があろうがなかろうが、どこでもかまわず歩くたちがいるといったことも聞く。以前のヤブが多かったときには歩く人などなかっただろうに・・・
ヤブが戻れば、そういう人も少なくなるだろうか。
とにもかくにもシカ柵は今後さらに増えていくのだろうが、はたして本来の姿に戻すことができるのだろうか。