「影法師」

影法師 (講談社文庫)ブログにはほとんど書き込みしていなかったが、今年は昨年以上にあれこれと本を読んでいる。今年に入ってすでに70冊の本を読んだようである。 今年読んだ中で特に良かった本はなんと言っても「影法師」だろう。「永遠の0」の感動を再びである。 下級武士に生まれた勘一は筆頭家老にまで上り詰めたが、頭脳明晰で剣の達人である親友の彦四郎は不遇の生涯を送る。 下級武士から筆頭家老にまでなった勘一はもちろん文武に優れた人だったが、それ以上に人並みはずれて優れていた彦四郎の生涯は「どうして?」と思うほどに不遇なものであった。 二人の運命を決定的に分けたのは、二人が命じられた上意討ちである。この上意討ちで勘一は見事相手を倒したが、彦四郎は背中を切られてしまう。傷は浅かったが、敵に背中を向けた「卑怯傷」を負ったことにより、勘一とは対照的に冷遇されることになる。 そして、不遇な最期を遂げることになるのだが・・・ しかし、なぜ彦四郎ほどの男が卑怯傷を負ったのか? その後明らかになった事実は驚くべきものだった。彦四郎という男は本当にすごい男だった。こんな人が実際にいるとは思えないぐらいにすごい。なのに、悲しいくらい不遇な生涯を送るのがやるせない。 文庫の最後についている袋とじの終章を読んだら、さらに驚いた。本当にこんな人がいるだろうか・・・ ネタバレになることは書けないから、こんな書き方しかできないが、「永遠の0」の宮部といい、彦四郎といい、なんと素晴らしい人だろう。こんな人に巡り会える百田尚樹の小説はすごいというほかない。

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