最近、注目すべきニュースがあった。
一つは講談社が6月から「著作者の許諾が得られたすべての新刊」を対象に、電子書籍と紙書籍の同時刊行を行うというものである。
もう一つは、角川グループがAmazonと「Kindle」向け電子書籍の配信契約を締結したというものである。ここで注目すべきは、価格決定権はAmazon側が持つということである。
これまで日本では紙の書籍はどの書店でも価格は同じだった。
電子書籍もどの電子書籍販売サイトでも同じ価格だったと思う。
しかし、AmazonではKindle用の電子書籍を他の電子書籍販売サイトよりも安い価格で売ることができるということになる。
Wikipediaを見ると、アメリカのAmazonのキンドルストアではベストセラーを他よりも安価な価格で販売しており、それも利益がまったく出ない価格設定をしているらしい。
Amazonは、世界最大のオンライン書店であるだけでなく、インターネット上では世界最大の電子商取引サイトである。ベストセラーの書籍で利益をあげなくても、他からの利益が得られればいいのだ。そして、安価な価格設定により、Kindleを売り込み、他の電子書籍リーダーを駆逐するのだ。
電子書籍が安くなるのはいいことかもしれないが、それによって他の電子書籍リーダーや電子書籍販売サイトが消滅することになるとすれば恐ろしいことである。