かなり長いこと、特定の作家の本しか読まなかった。
新作が発表されれば新作を、そして新作が発表されるまでの間は旧作を読み返し続けていた。
それが、昨年春以降、久しぶりに他の作家の本をあれこれと読むようになった。
私の趣味じゃないという本もあったが、おもしろい本もあった。本当にすごい!と思った本もあった。
特に良かったのがダン・ブラウンのラングドンシリーズ第1弾「天使と悪魔」である。
世界的なベストセラーになった小説であり、映画化もされたので、御存知の方も多いだろう。
私はそれまで全然知らず、なんとなく読んでみて、すごい小説だということを知ったわけで、「何を今さら」と思われる方も多いかもしれない。しかし、流行を追いかけているわけではないのだから、いつ読もうがいいのだ。
ガリレオ創設の秘密結社イルミナティ(実際にはガリレオの時代にはまだイルミナティは存在していなかったらしいが。)とバチカン。
キリスト教や世界史には馴染みがないので、はたしてすんなりと読んでいけるのかと思ったが、まったくそんな心配は不要で、読みやすい小説だった。最初からぐいぐいと引き込まれてしまう。迫力のあるストーリー展開である。
ハリウッド映画じゃないが「そこまでやるか!?」と思うようなところもあった(実際、ハリウッド映画になっているのだけど。)が、ハラハラ、ドキドキ、最後まで目が離せない。
ハードカバー版で2冊、文庫判では3冊という長編だが、あれよという間に一気に読んでしまった。
これに続くシリーズ第2弾が「ダ・ヴィンチ・コード」(映画ではこちらが第1弾だった。)で、これがまた大ベストセラーになったわけだが、私には「天使と悪魔」のほうがすごいと感じられた。
しかし、もちろん「ダ・ヴィンチ・コード」もすごかった。
こちらは聖杯伝説を扱ったもので、キリスト教徒には非常にショッキングな内容だったのではないかと思われる。
日本人には馴染みのない聖杯伝説だが、「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」を見た人にはお馴染みだろう。もっとも、「インディ・ジョーンズ」では文字通りの「杯」であるのに対して、「ダ・ヴィンチ・コード」ではキリスト教の根幹を揺るがすようなすごい事実が秘められていたのだった。