7年ぶりの槍穂縦走 (2) 大キレットを越えて

日付 :2011/07/17
コース:槍ヶ岳山荘→南岳→北穂高岳→涸沢岳→穂高岳山荘

 今の時期、槍ヶ岳山荘の前から日の出を見ることはできないはずである。日の出を見るなら山頂に登らなければならず、そのためにはヘッドランプをつけて登らなければならない。そして、山頂はそれほど広くはないので、多くの人が山頂を目指すならば、日の出の時間に山頂に立つことができないかもしれない。また、私の寝ていたポジションも良くなかった。2段になっている部屋の上段で、ハシゴから一番遠く、隣の人が寝ていたから出にくかった。そんなことで、あえて日の出を見ようと外に出て行かなかった。(それでもカメラを持って外に出ていれば、撮るべきものもあっただろうに、考えが浅いな・・・)

 朝食後、小屋の前から常念岳や富士山を眺めて出発。
 2日目の朝もいい天気で、南アルプスや富士山などもよく見えた。

常念岳の眺め
正面に常念岳
南アルプスと富士山
南アルプスと富士山

 槍ヶ岳山荘を出発して、南岳までは快適な3000mの稜線山歩を楽しむ。大喰岳、中岳、南岳で槍ヶ岳を振り返って写真を撮る。

槍ヶ岳
大喰岳からの槍ヶ岳
槍ヶ岳
中岳からの槍ヶ岳

 南岳小屋を過ぎると、いよいよ大キレットである。獅子鼻からは北穂高岳の眺めが素晴らしいが、大キレットを見下ろすと、奈落の底に落ちていくような感じで、こんなところに登山道があるのが信じられないような気がする。登山道は獅子鼻の右手にしっかりとつけられている。

大キレットと北穂高岳
大キレットと北穂高岳(獅子鼻付近から)

 急斜面を下っていき、最後にハシゴを2つ下ると一段落である。
 大キレットの底に下りると、長谷川ピークを目指す。

獅子鼻を振り返る
大キレットの底から獅子鼻を振り返って見上げる

 長谷川ピークはスパッと切れ落ちているので、写真を撮るのにも立ち上がる気がせず、腰を下ろした状態で写真を撮った。ちょこちょこと写真を撮っていたこともあり、後から人が来ると、先に行ってもらう機会が多くなった。難所では後にピッタリとついてこられるよりも、一人でのんびりと行きたかった。

長谷川ピークから北穂高岳
長谷川ピークから北穂高岳

 2度目とはいえ、すでに前回の記憶は薄れてしまい、あらためてここはけっこう怖いところだと思った。高度感があり緊張するところだが、難しいというわけではないので、慎重に行けばよい。もちろん、落ちたらやばいところなので、気を抜くことはできない。

長谷川ピーク
長谷川ピーク

 A沢のコルから登り返す。長谷川ピークを振り返ると、何人もの人が歩いているのが見えるが、本当にすごいところを歩いているものだと思う。

長谷川ピーク
長谷川ピーク(上の方の岩稜を歩く人がわかるだろうか?)
長谷川ピークと南岳
長谷川ピーク(左)と南岳(右)

 この3連休、北アルプスは登山者が多く、大キレットを歩く人も多かった。反対側から縦走してくる人もいるので、すれ違いで待たされるようなこともあった。飛騨泣きにもけっこう人がいた。
 飛騨泣きは何年か前に岩が崩れたとかで、ルートが少し変わったということだったが、現地に行ってみて、まず、先の尖った岩が欠けてしまったのに気がついた。そして、登っていくルートも付け替えられているのがわかった。ペンキマークも新しくなっていた。ルート変更によって、クサリをつかんでよじ登る部分が加わったようだった。

飛騨泣き
飛騨泣き

 欠けた岩の裏側に回り込むと、クサリと足場が設置された岩をトラバース。

クサリ場のトラバース
クサリ場のトラバースを過ぎて振り返る(バックは笠ヶ岳)

 浮き石の多いガレ場を登ると、ようやく難所が終わりとなる。
 しかし、そこから北穂高岳までがまたきつい。見上げれば、はるか頭上に北穂高小屋が見えるのだが、ものすごい急斜面なので、楽に登れるものではない。一歩一歩登っていくしかない。
 小屋にたどり着くとホッとする。売店でジュースを買って飲んだ。
 そして、写真を撮る。
 大キレット越しに眺める槍ヶ岳が素晴らしい。

大キレットと槍ヶ岳
大キレット越しに眺める槍ヶ岳(北穂高岳から)

 小屋の上が山頂で、やはり多くの登山者でにぎわっていた。

奥穂高岳方面の眺め
奥穂高岳方面の眺め(北穂高岳から)

 北穂高岳で休憩した後、涸沢岳へと向かう。岩稜歩きの再開である。クサリ場で待たされたり、すれ違いで待たされることも多くなった。
 2度目とはいえ、前回の方が余裕があったような気がする。大キレットもそうだが、北穂高岳〜涸沢岳間の岩稜歩きも今回の方がきつかった。初日の疲れが残っていたことも大きいのだろう。なので、後から人が来ると、先に行ってもらうことが多かった。もちろん、休憩している人たちを追い抜いたり、前を行く人に先に行かせてもらうこともあったが。
 後半はけっこうクサリも多かったが、今回はありがたく使わせてもらった感じだ。

 鉄杭とクサリを使って岩場を登ると、難所はほぼ終わりで、まもなく涸沢岳に到着。

槍ヶ岳
涸沢岳から槍ヶ岳の眺め
奥穂高岳
涸沢岳から奥穂高岳の眺め

 涸沢岳からの下りは普通の歩きやすい登山道なので、穂高岳山荘から往復する人も多いようである。
 穂高岳山荘に到着すると、売店でおそばを食べ、それから宿泊の受付にいった。
 1畳に2人とかなり混んでいた。最終的には少し余裕ができたが、混雑していたことに変わりない。

 今回の南岳から涸沢岳の岩稜歩きは前回よりもきつく、時間もかかった。前回の方が恐怖感も少なく、いいペースで歩いていった気がする。今回は初日の疲れが取れていなかったのも大きかったのだろう。また、このルートを歩く人が多く、クサリ場などで待たされることも多かったため、余計に時間がかかったと言える。とは言え、お昼過ぎには穂高岳山荘に到着しており、時間的には余裕があった。

1日目にもどる    3日目につづく

槍ヶ岳山荘(5:46)→大喰岳(6:03-6:06)→中岳(6:28-6:33)→南岳(7:17-7:20)→長谷川ピーク(8:36-8:41)→北穂高岳(10:16-10:34)→涸沢岳(12:41-12:53)→穂高岳山荘(13:04)

丹沢・駆け巡り > 山行記 > 2011/07/17(7年ぶりの槍穂縦走(2)大キレットを越えて)