秋の後立山連峰(1)八方尾根から五竜岳

日付 :2015/09/20
コース:八方池山荘→唐松岳頂上山荘→五竜岳→キレット小屋

 今回は、急遽の北アルプス行きとなった。
 まだ行ったことのない針ノ木岳あたりなら1泊でちょうどいいかとも思ったが、今回は五竜岳に登りたいという思いが強かったので、八方尾根から五竜岳に向かうことにした。

 朝6時、白馬八方バスターミナルに到着。おにぎりを食べたりして出発準備。
 八方アルペンラインへ行くと、切符売場は長蛇の列。さすがにシルバーウィークで天気も良いので、人出も多い。ゴンドラ、リフトを乗り継いで第1ケルンまで登る。標高1,830mまで一気に登れてしまうから楽である。おまけに展望も良いよから、思いきり楽しめそう。

 7時30分、八方池山荘からスタート。
 青空をバックに白馬三山がきれいに見える。

白馬三山
白馬三山

 登山者は多いけれど、渋滞するほどではない。
 けっこう濃い青のマツムシソウなども見かけたが、基本的に花の季節は終わりであり、展望を楽しみながら登っていった。

前方に不帰嶮
前方に不帰嶮

 八方池では水面に白馬三山がきれいに映し出されていた。よく知られた撮影スポットだが、今回は写真撮影にも絶好の天気だった。

八方池と白馬三山
八方池と白馬三山

 扇雪渓にはこの時期もまだ雪が残っていた。いい休憩地であるが、休憩せずにさっさと先へ進む。

扇雪渓
扇雪渓

 振り返ってみれば、いつの間にか雲海が広がっていた。妙高山や高妻山などが雲海の上にわずかに見える。

雲海に妙高山や高妻山が見える
雲海に妙高山や高妻山が見える

 左手には五竜岳や鹿島槍ヶ岳も青空をバックにきれいに見えた。

五竜岳と鹿島槍ヶ岳
五竜岳と鹿島槍ヶ岳

 北アルプスはすっかり秋山になっており、けっこう紅葉していた。

ナナカマドの紅葉
ナナカマドの紅葉(バックに白馬三山)

 雲海の上に浅間山が見えた。浅間山の左に見えるのは四阿山である。

四阿山と浅間山
四阿山と浅間山

 もともとの予定では、一泊なので五竜岳に登るだけでいいと思い、遠見尾根を下るつもりだった。今回、一番の目的は五竜岳から鹿島槍ヶ岳の眺めを楽しむことにあった。前回訪れた時も眺められたが、くもっていたので、青空をバックに見たいと思ったのだ。
 今回、朝から登り始めたので、今日のうちに五竜岳に登ることも可能だと思った。そして、天気がいいから、このまま五竜岳に登っても鹿島槍ヶ岳がきれいに見えるのではないかと思った。
 八方尾根はけっこういいペースで登っていたので、唐松岳の山頂によらなければ五竜岳を越えてキレット小屋まで行けるのではないかとも思った。
 唐松岳頂上山荘の上、八方尾根を登り詰めたピークに登り、時間をチェックし、コースタイムを確認すると、これなら行けそう・・・というわけで、唐松岳の山頂に行くのはやめた。唐松岳には3回登っているし、唐松岳頂上山荘からでもそれほど眺めは変わらない。

白馬岳方面の眺め
白馬岳方面の眺め

 稜線の東側は雲海が広がっていたが、剱岳や五竜岳などは青空をバックにきれいに見えた。

立山〜剱岳
立山〜剱岳

 というわけで、五竜岳へ向かう。
 牛首あたりからは五竜岳がよく見えた。

五竜岳
五竜岳

 牛首あたりはクサリ場が続くので、カメラをしまった。この後、写真を撮るためには、その都度荷物の出し入れが必要になった。

唐松岳と牛首あたり
唐松岳(左)、右は牛首あたり

 八方尾根こそいいペースで登れたものの、五竜岳へ向かって登りになると疲れが出て来た。夏の間、運動不足だったせいか、それとも根本的に体力が落ちたか? 五竜山荘を越えてからがきつくなった。この頃には少しずつ雲が広がってきていた。キレット小屋まで行こうなどと考えたのが間違いだったか?
 それでも、なんとか五竜岳の山頂に到着。
 剱岳はまだ見えていたが、雲がかかり始めていた。鹿島槍ヶ岳のほうは完全に雲がかかってしまっていたが、ときおり雲が切れると上の方だけ見えた。

鹿島槍ヶ岳
鹿島槍ヶ岳

 北側の白馬岳方面はずっと稜線が見えていたが、稜線の東側はすべて雲海だった。

白馬岳方面の眺め
白馬岳方面の眺め(右手前に五竜山荘が見える)

 12時過ぎの時点で五竜岳の山頂にはけっこう人がいたが、キレット小屋へ向かう人はほとんどいないようだった。
 朝の八方尾根のゴンドラ利用者の数を考えれば、五竜山荘などは相当の混雑が予想された。混雑を避けるためにもキレット小屋へ行く方がいいと思った。
 五竜岳から先、標高が下がるとガスの中に入った。G5あたりも完全にガスの中だった。それでも、ときおりガスが晴れると、鹿島槍ヶ岳が眺められた。

鹿島槍ヶ岳
鹿島槍ヶ岳

 キレット小屋へ向かう途中、後ろから来た人の話では、キレット小屋は予約の時点で1畳に3人ということだった。空いているかと思ったら、とんでもない。しかし、もうどうしようもない。どこの山小屋も大混雑だろう。

 午後3時までにはキレット小屋に着いたが、小屋が見えた時点で、これはすごいと思った。小屋の前が賑わっているのだ。


 小屋の中はもっと大変なことになっていた。予約なしでは廊下とかで寝るしかないし、布団もないという。それでもここに泊まるしかないのだ。
 しばらくは外にいたが、完全にガスがかかってしまうと、肌寒くなったので、小屋の中に入った。しかし、小屋の中はいっぱいだった。廊下はもちろん階段も真ん中を人が通れるようにして、左右に人が座っていたのだった。

剱岳の右に日が沈む
剱岳の右に日が沈む

 夕方、夕食が始まった。私は4回目で、その後、5回目まであった。
 夕食の後、予約していなかった人たちの寝る場所を決めることになった。早めに到着していた人たちは食堂で寝ることになり、毛布を与えられていた。到着が遅かった人は自炊部屋のテーブルを外に出してブルーシートを敷き、そこで寝ることになった。布団や毛布など無しである。あとは廊下とか空いているところを使ってもいいということだった。
 前夜は夜行バスでほとんど眠れなかったから、こんな状態でも眠ってしまうだろうと思った。実際、始めは眠くなってウトウトしていた。しかし、自炊部屋はLEDランプがずっと点いていた。それに、始終ガサガサと音がしていた。着るものはすべて着たが、それでも布団なしでは寒かった。シュラフやマットを持ってきていた人はまだいいが、板の間ではまともに眠ることはできなかった。
 前夜眠れなかったし、朝からずっと歩いてかなりの疲れもあったのに、それでも眠れなくなったのは、多少疲れが取れてきたからだろうか・・・

 なお、今回は予約を断られた人もけっこういたらしい。しかし、予約なしでも当日来た人は受け入れるから、寝る場所もない状態になったようである。他の小屋でも予約できなかったという人もいた。この連休、どこの山小屋も大変なことになっているようである。山小屋の人は、翌日、別の小屋に泊まる予定でも予約していないと同じような状態だから、泊まらずに下山するよう促していた。
 前回5連休となったときもすごく混んだらしいが、今回はそれ以上だったらしい。自炊部屋のテーブルを外に出したのは初めてということだった。
 今回のシルバーウィーク、予約していなかった人はたいへんだったが、予約していても1畳に3人だと相当にきつい。こういうときはテントはいいが、テント場を確保できないというパターンもあったのだろうか?

 ところで、唐松岳頂上山荘から先の稜線では多くの登山者がヘルメット着用だった。この稜線を歩くのは3回目になるが、かつては見られなかったことで、いつの間にか登山者の意識が改まっていたようである。

2日目へつづく

八方池山荘(7:30)→八方尾根頂上(9:27-9:32)→五竜山荘(11:05)→五竜岳(12:01-12:15)→北尾根の頭(13:47)→キレット小屋(14:49)

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