夜中に目が覚めると、外は強い風が吹いているのがよくわかった。雨音は聞こえたり聞こえなかったりだったから、まだ本格的な降りにはなっていないようだった。
朝、台風接近で稜線ではすでに風速10mの風が吹いているという。
早めに下山するか、小屋に停滞するかどちらにすべきか?
予報では明日の午前中までは風が強いというから、停滞しても翌朝すぐに下山というわけにはいかない。だったら、早めに下山してしまおう。(いい加減、お風呂にも入りたかったし・・・)
朝食を済ませると、急いで出発の準備をして、5時25分、笠ヶ岳山荘を出発。
しかし、やっぱり稜線上は風が強かった。
下山開始してまもなく、風の通り道のようなところを通ったのだが、右からすごい風が吹き付けてくるので、思わず下がって後から来る人を待ってしまった。本当にこれで下山できるのかと心配になったが、その後はためらうことなく歩いていった。特に風が強いところでは、重心を低くして風に押し流されないようにしていった。問題なく歩いていったが、いつの間にかザックカバーがはずれてしまい、たまたま前の人たちを追い抜いていったときに教えられて、ザックカバーをかけてもらった。
抜戸岳の手前で分岐となり、笠新道を下っていく。
最短ルートということで下っていったのだが、それだけに急な登山道であり、こんな天気で大丈夫かと心配もしたが、笠新道は整備された登山道であり、下っていくのに問題はなかった。それに、稜線のような強風もなかったので、ひと安心である。
杓子平へぐんぐんと下っていったが、いつの間にかまたザックカバーがはずれかかっていたようで、前の人を追い抜いた際に直してもらったのだった。
天気が良ければ杓子平のあたりも良いところなのだろうが、さすがに今回はひたすら下っていくだけである。それでも杓子平を過ぎると、樹林帯に入っていくので、もうひと安心できた。
杓子平を過ぎると、雨も小やみになり、下界を見下ろすこともできた。
ぐんぐん下っていくと、ポツポツと笠新道を登ってくる人と会うことになった。台風接近というのに、登ってくるとは無謀ではないか?と思わないでもない。
やがて、左俣林道に降り立った。あとは新穂高温泉まで林道を歩いていくだけである。
このところの雨のせいか、左俣谷は水量豊富で豪快な流れだった。
そして、新穂高温泉バスターミナルに到着。
温泉につかって、13時40分発の松本行きのバスに乗る予定だったが、思いの外早く着いてしまったので、10時20分発の松本行きのバスに乗って帰ったのだった。
結局のところ、台風はさほどの影響をもたらすことなく通過していった。
あとで笠ヶ岳山荘のサイトを見て知ったのだが、翌日はなかなか見事な日の出を見られたらしい。
笠ヶ岳山荘に連泊した人たちや台風接近の中登っていった人たちは良いものが見られたようだ。
結局、天気に恵まれなかったのは私で、やっぱり日頃の行いが悪かったということだろうか?
笠ヶ岳山荘(5:25)→笠新道分岐(6:13)→杓子平(6:59)→左俣林道(9:02)→新穂高温泉(9:40)