9月に入っても相変わらず暑く、当然、今回も沢へ行こうと思ったが、水曜日に丹沢湖で記録的な大雨が降っていたので、その影響が気になった。そんなこともあって、今回は西丹沢はやめて表丹沢にすることにした。
新茅荘の前の広場では沢へ入る準備をしている団体さんがいた。新茅ノ沢だろう。ならば、団体さんが来る前に先に進んでいこう。
新茅橋の手前で沢に降りると、さっさと遡行開始。
3mの小滝を越えると、さっそくF1(7m)である。
新茅ノ沢は昨年春に各滝の写真を撮っておいたので、今回は丁寧には撮らず、所々で撮るだけにした。団体さんがやってくると思ったので、F1は写真を撮らずにさっさと巻く。
前回訪れたときは4月だったことから、この巻道は落ち葉がいっぱい積もっていてスタンスがよく見えず、ちょっと嫌な思いをしたのだが、今回はスタンスも明瞭で簡単に巻いていった。
F2も巻いて、F2の落ち口へ降りようと思っていたのだが、この降り口は幅が狭く荷物がつっかえそうだった。それで無理せず、そこから上に登ってF3も巻いた。(あとで思い出したのだが、前回はここで背中の荷物を下ろして通過したような気がする。)
すぐにF4で、ここは難しくないので右から越えていった。
ゴーロを歩いていくと、F5が現れる。
F5大棚はガイドブックによると左から巻くことになっているが、右にも巻道があるらしい。それで、今回は右から巻くことにした。左から巻く場合、かなりの大高巻きとなるが、右から巻く場合、落ち口より少し高いところをトラバースしていくので、落ち口を見下ろすことができた。
F5の上に降りると、遡行再開。
小滝をいくつか越えていき、F9は左から越える。
石積み堰堤を越えていくと、伏流となる。
伏流区間をしばらく歩くと、再び水が流れ出して、F10となる。
そして、F10を越えると、二俣になり、左の3段10mルンゼを登っていく。
その後も小滝が続くのだが、水が涸れる前に現れる滝がちょっといやなところである。
ホールドはあるし、岩はゴツゴツして滑りそうもなく、下から見ると簡単に登れそうなのだが、途中で躊躇してしまう。前回来たときはまだ春先で濡れたくなくて(といっても、水しぶきがかかる程度)迷ったが、結局、多少水を浴びながら右から水流の方へ登っていったような気がする。今回はそれほど濡れることを厭わなかったのだが、なぜかやっぱり躊躇してしまう。
手前左手から巻けそうだから、巻いてしまおうかと思ったのだが、とんでもない。下から見れば簡単に巻けそうでも、見た目と実際は大違いで、こっちのほうがよほど危険なことがわかった。
やっぱりこの滝は直登するしかない。
水流の左を2mぐらい登って様子をうかがってみた。左に逃げられるかと思ったが、なんのことはない。右を見たら、水流沿いに登って行けそうではないか。右手のスタンスに足をかけて、一歩上がれば、もう安心。案外、あっけなかった。
この上に続く小滝を越えると、完全に水は涸れた。
CS涸滝は右から巻くが、出だしで岩がせり出していて狭いので荷物がつっかえそうになるが、あとは問題ない。
その後はひたすらルンゼを登っていく。涸滝があり、岩が脆いところもあって油断はできない。
やがて、右手にテープが目につき、そちらへ行けば烏尾尾根に出られるのだが、あくまでも沢を詰めていった。そして、最後は烏尾山荘の前に出たのだった。
烏尾山で靴を履き替えて、表尾根を塔ノ岳へ向かう予定だったのだが、いつのまにか靴がなくなっていた。
沢登りをする際は、着替えだけでなく靴もザックに入れていくので、荷物が多くなる。写真を撮る際は、靴を入れた袋を出してからカメラを取り出すことになる。というわけで、写真を撮る際に、靴を入れた袋を外に出して、そのまま忘れてしまったのである。(バカである。)
今回は、あまり多くの場所では写真を撮らなかったのだが、思い返してみれば、後半では簡単にカメラを取り出していたので、その時はもう靴がなかったわけである。
靴がないので、塔ノ岳へ向かうのは中止である。
それで、どうするか?
山の中にゴミを捨てるようなことをしてはいけないだろう。明日、もう一度、新茅ノ沢を遡行しようか・・・とも思ったが、渓流タビを履いたまま下山して、電車やバスに乗るのは恥ずかしい。
後続の団体さんが見つけて持ってきてくれたら手っ取り早く片が付くのだが、無論、そんな都合良くいくはずないので、仲尾根を下って、再度、新茅ノ沢に入り、靴を探すことにした。
烏尾山から仲尾根を下る。以前は藪がすごかったらしいが、最近、藪が刈り払われて、歩きやすくなっていた。とはいえ、刈られた笹が残っていて、滑りやすかった。(2〜3回滑った。)
仲尾根には道標も立てられており、迷うこともなかった。
最後は植林帯を下っていって、戸川林道に降り立った。
林道を下っていくと、やがて新茅橋に到着。
再び新茅ノ沢に入った。
どこに靴を忘れたかはっきりしないが、おそらく前半だろうとは思った。
F1を右から巻いて登る。
F2の下に靴はなかった。
F2、F3と右から巻き、F4も右から巻いて、F5へ向かう。
F5の下にも靴はなかった。
F5を右から巻いていく。この巻道はちょっと良くないところがあると思ったが、半端なところを登ろうとしたからであって、立木のところまでトラバースしてから左に登っていけば、ほとんど問題なかった。落ち口へ向かってトラバースしていくと、靴を入れた袋を見つけ、無事回収した。
そして、F5の上で、靴を履き替えた。
新茅ノ沢は、始めに滝が連続しているので、F5まで登っても、たいした距離ではない。
F5を右岸側から巻く場合、植林帯まで行くことは過去の遡行で知っていた。
だから、F5の上から右岸の巻道を上がっていった。
植林帯まで行けば、あとはなんとかなるだろう。手入れの行き届いた植林帯は人が入っているということだし、仕事道もあるだろう。この植林帯を通っていけば、仲尾根の登山道にも出られるだろうと思っていったのだが、仲尾根まで行かなくとも降りて行かれそうだったので、踏み跡たどって下っていくと、戸川林道に下りることができた。
さきほど新茅橋を渡ってから55分後、再び新茅橋を渡った。
そして、今度はそのまま大倉まで向かったのだった。
F5のあたりで靴を忘れた可能性が大きいと思ったとおりで助かった。
さすがにこれより上に遡行していくとなると、途中で尾根に逃げられるかどうかわからない。
最後の方まで詰めていけば夕方になってしまうところだったので、予定どおりF5から下山できてホッとした。