地獄棚は何度も見に行っているが、雨棚は1度しか見たことがない。
2001年に一度訪れて写真を撮ったのだが、この写真は露出アンダーで失敗だった。
それで、もう一度訪れたいと思っていたのだが、一昨年は手前にある5mの滝に阻まれて見ることができなかった。
かつて一度登ったことがあったものの、一昨年訪れたときはとても登る気になれなかった。
威圧感があり、「登れない」と思った。そんなだから、たとえ登れたとしても、この滝を下降することなどできるわけがない。
しかし、今年はこの雨棚が見やすくなっているという。落ち口にはシュリンゲもかかっているというし、これはチャンスと思っていた。
西丹沢方面はやたらと乗用車が入ってきていた。
異常とも思える多さだったが、そのほとんどがキャンプに来ている人たちだったようで、登山者は少ない。
大滝橋から大滝沢沿いの登山道を登っていき、マスキ嵐沢が出合うところから、沢に降りていく。
まずは沖箱根沢F1を見に行ったが、F1の下に倒木があったのが邪魔だった。
次は地獄棚である。
しかし、地獄棚の写真はあとにして、雨棚へと向かう。このあたりのナメは滑りやすいので、慎重に歩いて行く。
そして、雨棚手前の5mの滝に来てみると、一昨年訪れたときとはまったく印象が異なっていた。
一昨年はとてもではないが登れないと思ったが、今回、滝に近寄ってみれば、簡単に登れそうだった。元々、この滝を登るのは難しくなかったはずで、この滝を無事に下降できるかどうかが問題だった。しかし、今回は落ち口にシュリンゲがかかっているし、下降用にロープも持ってきたので、大丈夫だろうと思って、さっさと登っていった。
さらに小滝を越えていくと、雨棚登場。
巨大な岩の窪に刻まれた一筋の白い流れ。大滝沢本流の水がここを一気に流れ落ちるので、なかなか豪快である。落ち口は日影になっているので、最上部が写真ではわかりづらいが、日の当たっているところでは、水が白く輝いいて、踊るように勢いよく流れて落ちていた。
久しぶりに見たが、やはり見事な滝である。
5mの滝の落ち口には左右両方にロープが設置されている。しかし、滝の下へロープが下がっているわけではなく、シュリンゲがかかっているだけである。したがって、ここを安全に下降しようと思ったら、ロープを用意していかなければならない。10mのロープでは滝の下までは届かないが、ここまで下れば安心というところまで下ることができた。
無事に5mの滝を下ると、地獄棚付近の滑りやすいナメに注意して下って、地獄棚の写真を撮った。
地獄棚の写真を撮ったら、引き返していって、今度はマスキ嵐沢へ入る。
マスキ嵐沢は6年ぶりだが、短いながらも楽しい沢だったと記憶している。
マスキ嵐沢に入って、少し行くと、ナメが始まる。序盤は、小滝を越えながらのナメ歩きである。
しばらく歩くと、大岩に囲まれたようなF1が現れる。
左側の岩が段々になっていて登りかけるが、上部の大岩が越えられず、右へ移動したら、水流沿いに快適に登ることができた。
続いて、F2。
傾斜もゆるく水流沿いを快適に登る。
続いて、F3。2段15mの滝で、このF3〜F4あたりがこの沢のハイライトだろうか。
巻道はないので、滝を登るしかない。下段はスタスタと簡単に登り、上段は右へ移動し、立木もつかんで落ち口に上がる。
そして、次がF4。この滝も巻道はないかと思っていたのだが、右の斜面を巻くこともできるらしい。前回は、直登したが、今回、もしも怖かったら、巻道を使おうと思っていったのだが、その巻道となる斜面を見て「ゲゲッ!」と思った。こんなの登れるのか?
ここでは、ちょうど上から懸垂下降してくる人たちがいたので、ちょっと待機。
そして、写真を撮ってから、滝へ向かう。
2段9mと言われているが、下段はまったく問題なく、上段の滝と下段の滝の間には間隔もあるので、上段を直登するにしても9m分の高度感はない。ここは6mの滝といったところか。
上段の滝の下に来て見上げれば、左から取り付いて右上へ斜上するルートが見て取れる。上部で水を浴びることになるので、2mぐらい登ったところで、その先のホールド、スタンスを確認。滝の上部で水流を横断するので、水量の多いときや、気温が低くて濡れたくないときは考え物だが、今回はまったく問題なかった。前回はシャワーを浴びたような気もしたが、今回は多少濡れた程度だった。その時の状況にもよるが、右の斜面を巻くよりも直登したほうが簡単かもしれない。
F4の上で小滝を1つ越えると、F5になる。F1からF5まで次から次へと滝が現れて、楽しい沢である。F5は右から越えていった。
F5の上をしばらく歩いて行くと、やがて水が涸れる。水が涸れたら適当なところで、靴を履き替え、昼食にしようと思っていたのだが、F4あたりではかなり暗くなっていて、次第にガスがかかっていったので、そのまま歩き続けているうちに、涸れ滝のF6が現れた。F6は階段状になっていて、簡単に越える。
続くF7(10m)は写真を一枚撮ると、さっさと右から巻いた。霧が濃く、かなり暗かった。
F7の上にはもう滝もない。あとは稜線に上がるだけだが、途中で岩に腰掛けて靴を履き替え、昼食にした。
沢を詰めていくと、最後はちょっと急になるものの、ガレやヤブコギもなく、あっさりと権現山の登山道に出た。
せっかくここまで来たので、権現山へ登った。
しかし、山頂に着いた途端に音をたてて雨が降ってきたので、すぐさま回れ右して下山開始。
畦ヶ丸へと続く尾根から分かれると、西沢へと下っていく。ジグザグに切られた登山道で、なだらかで歩きやすかった。正規の登山道からはずされたのが不思議なほどだった。
天気が良ければ、下棚・本棚も見物に行くところだったが、あいにくの天気だったので、あっさりと下山した。もっとも、西沢に下りたときにはほとんど雨も上がっていた。
今回、雨が降ったのは山だけで、西丹沢自然教室のあたりも雨が降ったのだが、下界では雨は降らなかったらしい。