今回は久々の小屋泊まり。
雪は積もったし、天気予報は晴れと言っていたから、かなり期待できそうだと思って、お昼頃に出発してみれば、空は完全な曇り空。今回も夕日は見られないか・・・と思いつつ大倉へ向かう。
昨日もまた雪が降ったようだから、雪を期待していくが、西山林道にはまったく雪はなし。
林道終点から登山道に入ると、ようやく周囲が白くなった。たいした雪ではないから、ぐちゃぐちゃになっているだけだった。後沢乗越からの登りも、南面であり、晴れて暖かかったため、とけるのが早かったようで、雪は少なかった。
始めは曇り空だったが、登っていくにつれて晴れ間が広がり、山頂に着く頃には富士山も見え始めていた。
午後5時になると、外に出て、夕日を眺めていた。空はすっかり晴れ渡っていた。もう少し雲があれば、赤く染まってきれいなのかもしれないが、贅沢言ってもしょうがない。きれいな夕日だった。
鍋割山荘の夕食は、ウナギだった。それに、天ぷら、おでん、果物などなど・・・。
夕食後、外に出てみれば、眼下には夜景が広がり、見上げれば星空がきれいだった。
5時半頃、外の様子をうかがいに出ていくと、東の空が赤くなり始めていた。眼下には秦野の夜景がまだきれいに見えた。富士山は・・・暗くてよく見えなかったが、確かにそれらしき形が黒く見えた。期待通り、天気はよさそうである。外にいると寒いから、小屋の中に戻って、6時頃まで待機。
6時になって、カメラを持って外に出る。
夜明け前の富士山は青白く、ちょっと神秘的な感じがする。
上空は晴れ渡っていたが、日の昇ってくるほうに雲があって、雲の上まで登るのを待った。よくあるパターンである。
日の出のあとは、富士山が紅く染まるのを期待したが、何故か今回はほとんど紅くならなかった。
他のほとんどの宿泊者が出発したあと、8時過ぎに鍋割山を出発。
鍋割山稜の登山道にはたっぷり雪が積もっており、昨日登ってきた登山道とは大違いである。
雪を楽しみながら塔ノ岳へ向かう。
金冷シで大倉尾根の登山道に合流。丹沢で最も登山者の多いルートだから、雪の登山道も大勢の登山者に歩かれている。が・・・ステップが切られていないから、登りはともかく、下りの場合、アイゼン無しだと滑りやすそうだった。今回は登りだし、ストックも持っていたので、アイゼンをつけないまま登っていった。
展望の良い塔ノ岳山頂で写真を撮った後、丹沢山へ向かう。
今回、アイゼンを使うとしたら、この塔ノ岳からの下りかなと思っていたのだが、結局、滑りそうな不安を感じることもなかったので、アイゼンは使わずじまい。
塔ノ岳〜丹沢山は、雪が積もっても歩く人が多いから、何の問題もなし。
丹沢山の手前で会った人に蛭ヶ岳へ行くと言ったら、先週の時点で不動ノ峰から先は誰も行ってないとかいう話を聞いた。この連休できっと行っている人がいるだろうとは思ったが、場合によっては途中で引き返すことも考えられた。
丹沢山からの下りで会った人には「これから蛭に行くの? 3時間は見たほうがいい」と言われた。(げげげっ! そんなにかかるのけ?)とにかく、心していくことにした。
蛭ヶ岳へ向かう主脈の登山道もすでにけっこう歩かれており、トレースがしっかりついていたので、特に難渋するようなところもなく、快適に歩いていくことができた。ときどき登山者とすれ違ったから、案外、蛭ヶ岳へ行った人は多かったようである。
不動ノ峰を越えると、富士山や南アルプス、檜洞丸などの眺めも良かった。
不動ノ峰から先の登山道もしっかりトレースがついており、まったく問題なかった。
鬼ヶ岩で写真を撮って、下っていった後、蛭ヶ岳への最後の登りとなった。
丹沢山からの下りで「3時間は見たほうがいい」と言われたが、1時間半で蛭ヶ岳に着いた。(あとで思ったのだが、あの人はもしかしたら最初にラッセルして蛭ヶ岳に行ってきた人だったのかもしれない。私の前にすでにけっこう歩いている人がいたから、普通に歩いていけたが、最初にラッセルしていった人は、やはりたいへんだっただろう。)
蛭ヶ岳の山頂で写真を撮り、少し休憩した。
蛭ヶ岳から檜洞丸への登山道にはトレースなし。しかし、姫次方面への登山道には踏み跡があった。姫次方面にトレースがついてなければ、素直に引き返すつもりだったが、トレースがついているなら行くしかない! ってわけで、突撃。
蛭ヶ岳の北面は雪も多い。急斜面だし、下りはまだしも、この積雪の中を登るのは相当きついだろうが、ここを登ってきた足跡がついている。
急斜面を一気に100mほど下ったところで、一旦西側が開けて、檜洞丸や富士山がよく見えた。
指導標があり、ここで登山道は左に折れるのだが、踏み跡はここで終わっていた。どうやら先行者はここまで下って、引き返したようである。だから、足跡は登っていたのだった。こういうことだとわかっていたら、蛭ヶ岳から塔ノ岳へ引き返していたのだが、蛭ヶ岳からすでに100mも下ってしまったので考え物である。踏み跡はあるとはいえ、登り返すのはなかなかたいへんである。青根に下るのと大倉に下るのとどちらが早いだろうか?
トレースはないとはいえ、下りだから、青根に下る方が早いだろうと考えて、そのまま突き進んだ。その後、まもなく木道が設置されているところを下っていくが、もちろん、木道は完全に埋もれてしまっており、木道の上を歩いているのかどうかもわからなかった。腰まですっぽり埋もれてしまうこともあった。
概ね膝上ぐらいの雪をラッセルして下っていった。
標高が低くなると、雪も少し減って、膝下ぐらいになった。蛭ヶ岳北面の下りも終わり、なだらかな道になった。雪のない時期なら楽に歩いていけるところだが、一面雪に覆われてしまうと、登山道がどこを通っているのかわかりにくいところがあって、やっかいなことになった。
1回、2回とルートを誤り、引き返して、周辺の地形から判断して、正しいルートに修正しなければならなかった。
3回目は、勘違いもあって、前の2回よりも大きくルートをはずしてしまい、斜面を下っていってしまった。引き返すのもたいへんだったので、斜面を斜めに登りつつ、本来のルートに戻っていった。たいした距離ではなかっただろうが、雪が多いから、時間をロスしたし、よけいな体力を使うことにもなった。
それからまたしばらく歩いて、ようやく地蔵平。雪がなければ、すぐに原小屋平で、さらにもう少し行って登りになれば姫次だが、今回は、この先もまだまだ長かった。登山道が溝状になったところも多く、そんなところは雪も多いから、余計に歩きにくい。長時間のラッセルに太股も疲れがたまってきていた。まだ時間的にも焦りを覚えるようなことはなかったが、かなり応えたことは確かである。
姫次に着いたときはもう3時だった。11時半過ぎに蛭ヶ岳を出発していたので、実に3時間半近くもかかったのだった。(鍋割山から蛭ヶ岳までの所要時間よりもちょっと長かった!)
姫次から先はしっかりとトレースがついていた。これを見て、心底ホッとした。
姫次から先もけっこう雪はあったが、トレースがついていたので、一気にペースが上がった。(普通に歩いていけた。)
時間に余裕があれば焼山まで行くつもりだったが、今回はまったくその余裕はなかったので、八丁坂ノ頭から青根へ下っていくことにした。
北面ということで、こちらもけっこうな雪があったが、しっかりトレースがついていた。
林道に下りるまで登山道には雪があった。
下りたところの林道は雪があり、凍っていたりで、滑りやすかった。
青根の町中にはまだけっこう雪が残っていた。
丹沢も北と南で大違い・・・である。
最終的に東野バス停に到着したのは午後5時近い時間だった。
姫次に着いた時間からして、三ヶ木行きのバスには乗れないだろうとは思っていた。(三ヶ木行きのバスは午前、午後それぞれ1本ずつしかない。)焼山登山口に下山してもバスはないから東野へ下山したわけである。東野からはやまなみ温泉行きのバスが出ており、その最終が5時30分だったので、これには余裕で間に合った。
やまなみ温泉行きのバスは、地域で巡回しているタイプのかわいらしいバスで、カードは使えず、現金先払い。やまなみ温泉まで200円だった。
やまなみ温泉で藤野駅行きのバスに乗り換え。こちらはけっこう本数も出ており、普通の神奈中のバスだった。(藤野駅まで220円)
電車を乗り継いで帰り、家に着いたのは午後8時。下山してから3時間もかかったのだった。
やっぱり、丹沢も北と南で大違い・・・である。
今回は天気に恵まれ、雪を楽しめたし(後半は楽しむどころじゃなかったが)、なかなか内容のある山行になった。(アイゼンは使わなかったが、スノーシューがほしかった!)
しかし、反省すべき点も多かったことは否めない。
まずは、トレースがなくなったにもかかわらず、姫次へ向かったこと。(判断をまちがったとまでは言わないが、ちょっと考えが甘かった。)
この連休、北丹沢も焼山だけでなく、姫次まで来る人がいるだろうと予想し、実際、そのとおりだったのだが、こんな不確実なことに期待していていいわけがない。姫次まで行けば、トレースがなくてもなんとかなる・・・という考えも甘い。姫次から先もけっこうな雪があったから、トレースがなければ、最終バスに間に合わず、タクシーを利用せざるを得なかっただろう。
次に、ルートを誤ったこと。
袖平山でも見えれば、目指すべき方向がわかるから、大きくルートをはずすことはないだろう。しかし、途中で目の前に横たわる山をそれと勘違いして、方向を誤ってしまった。その後、地図をよく見て、間違いに気づいたが、そもそもルートがわかりにくかったのだから、最初から慎重に考えるべきところだった。
そして、ルートを誤って、変なところにトレースをつけてしまったのも×。
とにかく・・・今回の反省を次回以降に生かすようにしなければ・・・