平ヶ岳には何年か前に行こうとしたことがあった。
登山口まで行くのがたいへんである。まず奥只見ダムまで行くのがたいへんだが、その先が問題だった。奥只見湖遊覧船が1週間前までに予約が必要なことに気がつくのが遅くて、結局、行き損ねたのが数年前の話である。ついでに尾瀬口から先も予約バスとなっている。
しかも、鷹ノ巣からの登山道は長く、どうしても2泊は必要となる。
不便なところだから、下山したら、尾瀬を通って帰るのがいいかも・・・などと考えていた。
さて、今年の夏山は雲ノ平の計画が最初に決まった。
その時点での天気予報では24日か25日頃には梅雨明けしそうだった。夏山に行くなら梅雨明け10日の天気が安定した時期がいいし、花を見るなら7月中に行っておきたい。
ところが、この週末は土曜日に法事があって、ちょっと無理ぽかった。
しかし、銀山平の宿に泊まると、中ノ岐林道登山口まで送迎してもらえ、この場合、1泊2日で簡単に登れてしまう・・・
そんなわけで、急遽、28日〜29日で出かけることになった。
銀山平から中ノ岐林道登山口までは1時間以上もかかる。宿を朝4時に出発して、登山口到着は5時過ぎである。登山口でマイクロバスを運転してきた宿の人はお昼には雨になりそうだと言っていた。
中ノ岐林道は一般車通行止めのため、こちらの登山道を登るには地元の宿に泊まって登山口まで送迎してもらうしかない。そんなこともあって、この登山道が公的に整備されたのは、今上天皇がかつて登られた際の一度だけとのこと。基本的に地元の人が整備しているということだろう。
平ヶ岳沢を渡ると、すぐに急登の登山道となる。樹林帯をひたすら登っていく。途中で、越後駒ヶ岳などが見えるところもあったが、展望が開けるのは樹林帯を抜けてからとなる。
登山道は多くの人に歩かれているようだが、かなりえぐれているところも多く、決して歩きやすい道でもなかった。
登山道ではゴゼンタチバナやギンリョウソウが咲いていた。
急登が終わり、視界が開けると、まもなく分岐となって、右に少し行くと玉子石である。ここからは下の方に池塘がいくつも見えた。
平ヶ岳は山頂付近一帯はなだらかで広々としていて、至る所に高層湿原がある。巻機山などと似たような感じの山である。
玉子石から山頂へ向かう。燧ヶ岳方面が眺められたが、残念ながら燧ヶ岳には雲がかかっていた。越後駒ヶ岳などもすでに雲に隠れてしまっていた。
一旦下って、登り返していくと、やがて山頂に到着。新潟と群馬の県境まで木道が続いており、そのあたりが最高点となるようだ。
晴れていれば眺めもよいのだろうが、くもってしまって周辺の山を見ることはできなかった。
山頂でしばし休憩。周辺にはタテヤマリンドウがいっぱい咲いていた。
昼食を取っていたら、ホソバノキソチドリと思われる花が咲いていた。目立たないが案外あちこちにあるようだった。
その他、玉子石からの登山道では、ほかにイワイチョウ、キンコウカ、ウラジロヨウラク、モウセンゴケなどが見られた。チングルマはすでに花が終わっていた。ワタスゲの果穂は見頃の時季だったのだろうが、雨に濡れてしまって残念な状態だった。
木道沿いにオコジョがいたとのことだが、隠れてしまって私は見られなかった。
山頂から来た道を引き返し、姫ノ池に向かった。
ポツポツと雨が降ってきて、どうなることかと思ったが、少し降っただけで、やんでくれた。
姫ノ池は大小さまざまな池があり、平ヶ岳の写真というと姫ノ池から撮った写真が多い。
今回はくもっていて、山頂方面は見えたり見えなくなったりだった。
姫ノ池から玉子石方面へ向かう途中、ハクサンコザクラが咲いていた。密かに期待していた花だったので、とりあえず見られてよかった。
あとは来た道を引き返していった。
玉子石の分岐の先で木道が終わると、あとは急坂をひたすら下っていった。
急坂で歩きやすい道でもないが、下りだと体力的には楽で、ひたすら下っていった。
登山口に戻ると、宿の人がビールやジュースを用意して待っていてくれたのだった。
平ヶ岳に関しては、当初、清四郎小屋に泊まって鷹ノ巣から往復することしか考えていなかったので、なんか随分と楽してしまったようである。