昨年の蝶ヶ岳が良かったので、今年のゴールデンウィークも残雪の山に登ろうと思っていた。
私でも登れそうな山をいろいろピックアップして考えていたのだが、結局、一番簡単に登れそうな山へ行くことになった。
事前情報では、例年よりも雪が多く残っているらしい。至仏山の登山道の積雪は2〜3mあるらしい。とはいえ、ゴールデンウィークの至仏山にはスキー、スノーボード、普通の登山者と大勢の人が訪れるので、降雪直後でなければ大丈夫だろうとは思った。(今の時期、まだ吹雪になることもあるので、天候には十分な注意が必要だ。)
至仏山の登山道は5月7日〜6月30日まで閉鎖されるので、連休終盤は登れないことになる。
そこで、週間予報を見たり、山小屋の予約状況を見ながら日程を考える。連休前の予報では4月29〜30日は晴れるが、5月1日は雨になり、5月3日〜5日はくもりという微妙な予報だった。そして、山小屋はというと、5月3日は空室残り少なく、4日は満室となっていた。それで、4月29日〜30日に決まった。
4月29日は、お昼過ぎに鳩待峠に到着したので、とりあえず山ノ鼻まで往復した。積雪は多めで、木道はすべて埋もれており、沢も雪の下を流れている部分が多かった。
くもっていたが、燧ヶ岳や至仏山は眺められた。至仏山はよく見ると、東面のルートを見て取ることができた。この時期、至仏山の東面のルートは夏の登山道とは違っているのだが、スキーやスノーボードの滑走ルートがわかった。さらに、よく見ると、そのルートを歩いている人たちがいるのが見えた。
さて、4月30日は朝食を済ませ、準備をして、7時過ぎに鳩待峠をゆっくりと出発である。
普通の登山者もそれなりに歩いているが、スキーの人が多い。至仏山の登山道はなだらかなので、スキーを履いたまま登っていくことができるのだ。スノーボードの人は、当然、背負っていかなければならないが、たいがいスノーシューを履いているようだ。一般の登山者でもスノーシューを履いている人たちもいる。つぼ足ではどうかとも思ったが、ほとんど靴が埋もれるようなこともなかったので、無雪期とたいして変わらないペースで歩いていくことができた。
一面、雪なので、鳩待峠からの最初の登りはどこでも好きなように登れるようだった。
ルートに沿って赤布が付けられているので、これに沿って登っていく。
最初の目標となる第1ピークを目指して登っていくと、次第に周囲の山も眺められるようになった。
第1ピークのあたりでは休憩している人も多かった。山頂方面も眺められたので、とりあえず写真を撮る。
オヤマ沢田代の手前あたりからは東側の斜面をトラバースしていく。
前回訪れたときは夏でしかもガスっていたので、オヤマ沢田代のあたりも記憶にあるところとはまったく一致しない。完全に雪に覆われているのだから、あたりまえのことである。
稜線に出ると、すっかり眺めが良くなった。遠くの方には日光白根山の見覚えのある形も見て取れた。
小至仏山は東側の斜面をトラバースしていった。小至仏山の手前からは形の良い笠ヶ岳なども眺められ、武尊山も大きく見えたが、気がついたときに撮っておかなかったので、撮り損ねてしまった。
至仏山の山頂からは360度の展望を楽しめた。くもっていたのが残念なところだ。
平ヶ岳、越後駒ヶ岳、中ノ岳、八海山、巻機山、谷川岳など雪山が連なる眺めはなかなかのもの。
尾瀬ヶ原の向こう側にはお馴染みの燧ヶ岳が堂々とそびえ、その左には会津駒ヶ岳も眺められたが、こちらもちょっと霞んでいた。尾瀬ヶ原はまだ真っ白。
当初は、至仏山から鳩待峠まで来た道を引き返す予定だったが、山ノ鼻へ下っていく人たちもけっこうおり、特段問題なさそうだったので、下っていくことにした。
スキーやスノーボードの人たちはあっという間に斜面を滑り降りていく。
つぼ足でも、雪の斜面を駆け下りていくのは快適で楽しく、そして早い。靴を滑らせながら、駆け下りていった。
けっこう歩かれており、その後を下っていったのだが、下降ルートには問題があったことが後でわかった。高天原のあたりは雪がなくて夏道が出ていたのだが、このあたりは植生保護のため立入禁止だった。このあたりは迂回して、雪の多いところを下らなければならなかったのだ。(大いに反省。)
ぐんぐんと下っていき、山ノ鼻の小屋も次第に大きくなってくる。
樹林帯の上まで来れば、もう残りわずかだ。
樹林帯を抜けて下っていくと、やがて尾瀬ヶ原に降り立った。
研究見本園のあたりだが、もちろん、このあたりも完全に雪に覆われていた。
山ノ鼻で休憩。
アイゼンをしまうと、鳩待峠まで登っていった。
鳩待峠を目前にしたところでポツポツと降ってきたので、急いで屋根のあるところまで行くと、あっという間に雨になったのだった。
事前情報でわかっていたことだが、稜線上では風が強くてちょっと寒かった。しかし、それ以外ではさほど寒さは感じなかった。歩いていれば汗もかいた。
残雪の山はいい。天気が良ければもっとよかったのだが、しかたがない。とにもかくにも、雪を楽しむことができたのだから、良しとしなければ。