前回に続いて、今回も春の沢歩きである。今回は、当初の春の沢の第1弾として計画していた唐沢川〜石尊沢を遡行することにした。前回の春岳沢は小滝が連続する夏向きの沢だったが、今回は滝を登っていくような沢ではなさそうなので、今頃の時期でも楽しめるだろうと思っていたのだ。
今の時期に沢に行くのにはわけがある。5月になればヤマビルも活発になってくるというのが1つで、もう1つは5月になったら花を求めて歩き回る予定なので、沢に行く余裕がなくなるからである。
さて、今回は晴れて暖かくなった。くもっていた前回とは大違いである。
まずは煤ヶ谷から物見峠を目指す。低山は淡い緑に包まれて、一年で一番きれいな季節になった。すでに、ミツバツツジもチラホラと咲き始めていた。
物見峠から唐沢林道に下りて、小唐沢橋まで林道を進む。
小唐沢橋から唐沢川に入る。
前回とは違い、今回は晴れて暖かく、沢歩きにも良い陽気だった。
唐沢川を遡行して大山まで登るのは、けっこう長いルートである。しかし、あまり時間がかかるようなら石尊沢には入らずに唐沢峠に上がってしまうというのもありである。唐沢川は滝を登っていくようなルートではなく、沢歩きを楽しむルートと言える。暖かくなるとヒルの心配もしなければならないだろうが、今の時期ならまあ大丈夫だろう。
異常なほどに気温が上がった昨日ほどではないが、春の暖かな日差しを浴びた唐沢川は明るく暖かで快適だった。
夏なら水を浴びながら快適に水流沿いを登れそうなところもあったが、さすがにまだ濡れたくはない。そんなところは、簡単に巻いていくことができるので、難しいところもない。
目新し花こそ見つけなかったが、沢沿いにはそれなりに花も咲いていた。
ここでもミツバツツジが咲いていた。
巨岩帯は右から問題なく越えていった。
途中、左岸側に石の祠があるのに気がついた。地形図を見ると、唐沢川に沿った道が記載されているから、以前はそれなりに歩かれていたのだろうか。
しばらく行くと、幅の広いナメが現れて、しばらく続く。この沢でいちばんいいところではないか。
ナメを過ぎるとやがて左から小沢が流れ込む。
最近、雨が少なかったせいか、広い河原を歩いていくと、早くも水が涸れてしまった。大ノ沢が出合うあたりは水流があったが、その先でまた水が涸れた。
やがて、堰堤が現れて、2つめまでは右から越えて、3つめを左から越えると、左手には唐沢峠へと至る見覚えのある径路が現れた。唐沢峠の方からは人の声が聞こえていた。
この先もほとんど涸れ沢だろうから唐沢峠に上がってしまってもよかったのだが、せっかくだから石尊沢を遡行することにした。南大沢川を左に分けて石尊沢を遡行する。どちらも水流はなかった。石尊沢の方が沢幅が広く本流と見えた。
石尊沢は小滝がある程度で、特に難しいところはなさそうだった。今回は部分的には水が流れているところもあったが、ほとんど涸れていた。
途中、右手の斜面にシカとは違う動物がいると思って見上げたら、カモシカらしい姿が見えた。カメラを出そうとする前に木の陰に隠れて見えなくなってしまったが、よくあんな急斜面を歩いていけるものだと思った。
石尊沢は次第に傾斜を増していったが、問題なく登っていった。
上の方にはわずかに雪も残っていたが、問題はなかった。
しかし、そろそろ右の斜面に逃げたほうがいいだろうと思って、右手の斜面を登り始めたのは間違いだったか? 沢を詰められるだけ詰めて行き詰まってしまってはたいへんなので、適当なところで立木をつかんで斜面を登ろうと思ったら、簡単にはいかなかった。ドライバーでも持っていればよかったのだが、こんな時に限って持っていないのである。
苦労しながらも、なんとか小尾根に登って山頂を目指したが、山頂を目前にしてシカ柵に阻まれることになった。やむなく右手の北尾根登山道までいって、脚立を使って乗り越えたのだった。
大山に到着したときには3時を過ぎており、さすがに登山者も少なかったが、下山中にもまだ登ってくる人がいるのには驚いた。
今回は、あっさり大山ケーブルバス停へ下りていくことにしたのだが、途中でちょっとだけ遠回りすることにした。久しく歩いていなかったかごや道を使って下社へ出たのである。本坂の急な石段がない分歩きやすいかもしれない。
下社からは大山寺経由の女坂を下っていったら、道の脇に植えられたミツマタが咲いていた。