前回の地獄棚はまったくの期待はずれに終わってしまった。
この分では早戸大滝も期待できないかと思ったが、その後の1週間はやっぱり寒かった。
これだけ寒ければ、少しは期待できるかもしれない。少なくとも、1週間前よりは凍結が進んでいるだろう。早戸川方面はアプローチが長いのがネックだが、あてもなくただ山に登るよりも何か目的を持っていく方がいい。そこで、やっぱり今回は早戸川の滝を見に行くことにした。
宮ヶ瀬から伝道までが長い。
まずは早戸川橋を目指す。道路にはわずかに雪があり、凍っているから注意が必要だ。白い雪の上か土のある部分を歩き、まちがってもツルンツルンの氷の上だけは歩かないようにしていく。
早戸川橋を渡ると次の目標は三日月橋である。三日月橋までの早戸川林道は日当たりも良くほとんど雪のない道だったので、走りやすかったが、けっこう距離はあるので時間がかかった。
そして、三日月橋から先は雪道となる。(日当たりの良いところでは雪はなくなっていたが。)
国際マス釣場から先は一般車通行禁止となっていたが、何台か車が入っていた。
宮ヶ瀬から伝道まで1時間半ちょっとかかった。やっぱり伝道は遠い。
早戸大滝へ行く場合は伝道から右手の登山道に入ることになるが、今回はこちらには行かず、川沿いに直進していく。そして、堰堤を越えると円山木沢の出合となる。早戸川を飛び石伝いに渡ることになるが、氷がついている石もあるので、うかつには渡れない。慎重に渡るはずが、うっかり靴を水につけてしまった。登山靴ではないので、水につかれば靴の中まで濡れてしまう。一瞬だったのと、厚手の靴下だったこともあってか、ほとんど気にならない程度で済んだ。
円山木沢の出合には岩小屋があるのでわかりやすい。中に入ってハシゴを登り、踏み跡をたどっていくと、F1にたどり着く。完全に氷に覆われているが、氷の下を水が流れていた。
F1の上はすぐにF2になる。
F2も氷の下を水が流れているが、氷に覆われており、なかなか見事だった。写真ではほとんど青くは見えないが、その場で見た氷は青白くて神秘的だった。
F2を見たら、ちょっと引き返して、右手の尾根を登っていった。地形図を見ると、等高線の間隔が狭い急斜面だが、ここにはかなりよく整備された道がジグザグに作られており、歩きやすかった。雪の付いた道には昨日あたり歩かれたと思しき足跡もあった。(実は前日マシラさんがここを歩かれていた。)途中で拾った木をストックの代わりにして登っていった。
円山木沢の上の大滝も見たかったのだが、上の大滝を見るためには途中で道をはずれて左へ進まなければならない。しかし、ここを訪れるのは初めてだったので、そのポイントがわからなかった。踏み跡があると気にはなったが、安易に進むわけにもいかず。一度は踏み跡をたどりかけたが、明らかにこれは違うと思って引き返した。安易に踏み跡をたどるのは危険である。あとは素直に尾根を登っていった。しかし、整備された道を登っていったら、最後に尾根をはずれて左の方に下っていき、道がなくなっていた。それで引き返して、尾根を忠実に登っていくことにした。整備された道はなくなったが、ひたすら登っていくだけだし、踏み跡もあった。やがて傾斜もなだらかになり歩きやすくなった。しかし、丹沢三峰の稜線まではまだまだ長かった。北側の斜面ということで、ずっと雪があったが、積雪はわずかで、靴の中まで濡れることはなかった。
途中、西側がちょっと開けたところでちょっと休憩。日が当たっていたので、案外暖かかった。
思った以上に時間がかかったが、気がついたら丹沢三峰の登山道に飛び出していた。円山木ノ頭から丹沢山側にちょっと下ったところである。とりあえず、円山木ノ頭に登ると、すぐに引き返して丹沢山へ向かった。宮ヶ瀬に下るほうが早いが、大倉まで縦走することにした。下山後のバスの便がよいということもある。しかし、時間的にはちょっと遅く、まもなく午後2時になろうとしていたので、急いでいくことにした。
丹沢山に到着したのが2時45分だったので、先を急ぐ。
丹沢山からの登山道は日当たりの良いところでは雪は解けてなくなっていた。
3時20分過ぎには塔ノ岳に着き、まずはひと安心。山頂にはもう誰もいなかったが、日も長くなってきたので、ヘッドランプを点灯しなくても下山できそうである。
ちょっと雲は多かったが、西には富士山が見え、東は東京湾が青く見えた。
3時半、塔ノ岳を出発。急いで下山する。
気がつくと、後から人が下ってきた。追い立てられるようにして、ペースが上がった。追いかけられるのは好きではない。相手が速い人なら先に行ってもらうところだが、そうではないような気がした。下りで走る場合、無理はしないほうがいい。あくまでも余裕を持って走る。階段を一段飛ばしで下るような場合も、着地はソフトにいき、バタバタしない。平地でもバタバタと音をたてて走ることがあるが、そんなときは疲れがたまっているとかで、たぶんフォームも良くないのだろうと思っている。余裕があるときは不整地でも一歩一歩的確に着地し、飛ぶように下っていけるものである。息が上がるようなこともない。下りで走るなら無理して人のペースにあわせない方がいい。無理して転んだりしたら痛い思いをするだけである。自分のペースで行くべきである。目の前に私がいたので追いかけようと思ったのかもしれないから、楽に走れるところで、一気に先に行ってしまうことにした。
その後はもうついてこないようだったので、ペースを抑えて走っていった。
大倉到着が4時32分で、約1時間で下ったことになる。久しぶりにいいペースで下ることができた。