背戸峨廊

日付 :2010/07/24
コース:背戸峨廊

 福島県いわき市を流れる夏井川の支流江田川の渓谷、背戸峨廊はきれいな滝や淵・瀞が連続する美しい渓谷である。10m前後の落差の滝がいくつもかかるので、このような場所は、普通、沢登りのエキスパートにしか訪れることができないのだが、ここでは一般の登山者にも楽しめるよう、各所にクサリやハシゴが設置されて、足を濡らすことなく楽しめるように整備されている。

 背戸峨廊入口の駐車場から登山道を歩いて行くと、すぐに沢に下りる。このあたりには家族連れで遊びに来ている人たちがいた。沢沿いに遊歩道が整備されていて、ところどころのビューポイントには案内板が設置され、簡単な説明が書かれていたが、気づかず通り過ぎてした場所もいくつかあって、最初の屏風岩から気づかず通り過ぎてしまった。
 トッカケの滝までは歩きやすい道で、お手軽なハイキングコースであり、トッカケの滝の手前にはあずまやもあるので、まずはそれを目指した。
 トッカケの滝は落差10m以上はありそうで、水量も豊富だし、なかなか見事な滝である。しかし、日の当たっている部分と日影の部分のコントラストが大きくて、写真を撮るにはむずかしかった。(こういう場所はうすぐもりのほうが撮りやすいところだ。)

トッカケの滝
トッカケの滝

 トッカケの滝を眺めながら、水辺の岩に腰掛けて昼食にした。沢の水で冷やしたスイカが甘くて美味しかったこと! しかし、スイカと一緒に冷やしていたトマトがいつの間にか流されてしまっていたのには笑ってしまった。

 トッカケの滝から先はクサリやハシゴがいっぱい設置されたコースで、ハイキング向きではなくなり、事故も起きているということだったが、一般の登山者であれば、特にむずかしいところもなく、楽しいコースである。

 トッカケの滝の左に設置された長いハシゴを登ると、トッカケの滝の上にはもう一つ滝があった。落差はトッカケの滝ほどではないが、水量が多いので、なかなか豪快である。

トッカケの滝
トッカケの滝(ハシゴの手前から)
トッカケの滝の上にもうひとつ滝
トッカケの滝の上に続く滝

 背戸峨廊はよく整備されたコースで、大雨の後なら困難だろうが、足を濡らすことなく、歩いていくことができる。たいがい、右岸か左岸に足場があって、多くの場所にクサリも設置されているので、安心して歩いていくことができる。そして、ところどころに橋が設置されていて、対岸に渡るようになっている。大きな滝はどこから越えるのかと思うと、右か左に長いハシゴが設置されているのだ。沢沿いのコースなので、足場となる岩が濡れていて滑りやすいところがあるが、そういう場所にはクサリが設置されているので、クサリをつかんで慎重に歩いていく分にはほとんど問題ないコースである。

 背戸峨廊の見所は中盤以降に多いようだ。
 中盤に登場するのが片鞍滝。扇状に広がった滝である。

片鞍滝
片鞍滝

 この滝はどこから巻いていくのだろうと思ったら、右の方にハシゴがあった。けっこう長いハシゴである。
 次に登場するのが竜門滝。大きな滝ではないが、一枚岩の上をなめるように流れ落ちる滝である。

竜門滝
竜門滝

 竜門滝は左に設置されたクサリをつかんで登っていく。
 黄金とろかしでは、滝に日が当たって明るいが、手前の釜は陰っていて、写真を撮るにはコントラストが強くてむずかしい。「木の間より日の光が差し込むと、金波銀波が漂い黄金を溶かしたように感じられます。」との案内看板。ここは左に見えるハシゴを登っていく。

黄金とろかし
黄金とろかし

 さらに進むと、竜の寝床と呼ばれる大きな滝が現れる。なかなか見事な滝である。
 左岸側に付けられた道を登っていくと、正面から滝を見下ろすことができた。ここでも滝に日が当たっていて、写真的にはいまいちだったのはやむを得ない。

竜の寝床
竜の寝床
竜の寝床
竜の寝床を見下ろす

 続いて、かなり開けた場所に出ると、正面にはまたまた見事な滝が現れる。鹿の子滝である。
 滝の下は広々としていて、ゆっくり滝を眺めるのにも良いところである。

鹿の子滝
鹿の子滝
鹿の子滝
鹿の子滝(左から)

 次は見返り滝。「立ち止まって振り返って下を見ないとよく見えません。」ということで、上から振り返って写真を撮ってみた。うねるように流れ落ちる激流がわかるだろうか。

見返り滝
見返り滝

 そして、最後が三連の滝。この上にもう2つ滝が続いていることから「三連」なのだが、背戸峨廊最後の滝で未練を残すことから「みれんのたき」と読む。

三連の滝
三連(みれん)の滝

 後半の滝の連続は本当に見事だった。沢はまだ続いているが、遊歩道はここまでである。
 ここから左へ登っていくと、登山道に出た。あとは帰るだけである。
 少し行くと、分岐になり、早回りコース(約40分)とゆっくりコース(約1時間)に分かれる。ゆっくりコースの方が歩きやすいらしいが、早く帰るために早回りコースを進む。多少のアップダウンはあるものの、普通の登山者であれば特に問題のない整備された登山道である。
 歩いていくうちに、次第に雲行きが怪しくなってきて、ゴロゴロ鳴りだしてきたので、早回りコースで正解だったようである。

 背戸峨廊入口の駐車場に戻って、素麺を食べている間も、雷のゴロゴロいう音がしていて、いざ出発という時点でついにポツポツと雨が降り始めたのだった。

 背戸峨廊は本当にきれいな渓谷だった。
 これだけ多くの滝や淵が連続しているにもかかわらず、沢装備なしでも手軽に楽しめるよう整備されている場所が他にあるだろうか?
 その整備のしかたもほとんどがクサリとハシゴと木橋によるものであり、人工的な遊歩道などではないのがよい。滝の写真を撮っても、ハシゴが写ってしまうのはごく一部で、ほとんどは余計なものが写りこまないのもよかった。
 こんな場所が近くにあれば、年中訪れるだろうに・・・

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