北アルプス裏銀座縦走3(おまけ編)

日付 :2005/08/06(3日目)
コース:槍ヶ岳山荘→槍沢ロッヂ→横尾→徳沢→明神→上高地

 いやー、よく眠れた。この2日間、まともに眠れなかったが、ようやく十分に休むことができた。
 4時になると、もう周囲の人たちは起き始める。山頂で御来光を見ようという人たちは、まだ暗いうちからヘッドランプを点けて登っていく。御来光を見ようと思う人は少なくないだろうし、山頂に登れる人数には限りがある。山頂に登る人が多ければ、日の出の時間になっても山頂に立つことはできず、山頂で御来光を見た人たちが下りてくるのを途中で待たなければならなくなる。だから、最初から山頂へ登ろうとは思わなかったのだが、山頂へ登る人は案外少なかったようなので、登っていれば、御来光を見られただろう。

槍ヶ岳
夜明けの槍ヶ岳
裏銀座方面の眺め
昨日歩いてきた稜線を眺める

 出発前、山頂から下りてくる人たちが、一か所でストップしていた。下りるに下りられなくなっているらしい。下で見ている人たちが、ルートが間違っているから、一旦登り返して正規のルートに戻れと大声を出している。しかし、全然戻ろうとはせず、それどころか、その場からさらに下ろうとする。先頭の人が下り始めると、後の人もそれに続く。なんだか、随分危なっかしい状況であるが、はて、あのへんて、登りルートと下りルートが分かれているところじゃなかったっけ? うーん、2回目だから、私もあまり詳しくない。
 (あとで、写真をよく見たら、下りで行き詰まっていた人たちは、ルートを間違えたわけではなく、正規なルートを下っていたことがわかった。やっぱり、登りと下りのルートが分かれているところだった。きっと、先頭の人が怖くて行き詰まっていたのだろう。)
 マークがあるから、間違うようなルートではないと思っていたが、それでも、やっぱり間違うこともあるのだ。私も気を引き締めていこう。槍の穂先で行き詰まっている人たちのことを考えながらも、5時45分、上高地へ向かって下山開始。
 槍沢は、特に問題ないコースだと思っていたが、歩いているコースは案外険しいコースだった。右手を見下ろすと、ジグザグに下っている人たちが目に入った。槍沢下るつもりが、東鎌尾根に向かっていた。(>_<)

大喰岳
大喰岳と左に穂高の山並(どこ歩いてんだか!?)

 さすがに表銀座を縦走するつもりはないから、途中から殺生ヒュッテに下る道を使って、槍沢に下りる。槍沢では、ときどき槍を振り返って写真を撮りながら下っていく。

槍ヶ岳
槍ヶ岳(槍沢から)

 昨日までのコースと比べて、このコースは登山者の数が圧倒的に多かった。確かに、このコースなら誰でもお手軽に歩いていけるコースである。
 しばらく下ると、雪渓。軽アイゼンなし、ストックもなしだが、たいした傾斜はないから、問題なく歩いていけた。

雪渓
槍沢の雪渓

 さらに下っていくと、左手にニッコウキスゲが咲いていた。今回、あちこちでいろいろな高山植物を見てきたが、最後までいろいろ楽しませてくれた。

ニッコウキスゲ
ニッコウキスゲ

 やがて、樹林帯に入ると、涼しくなって、助かった。昨日までの2日間で思いっきり日焼けしており、首筋はヒリヒリしていたから、なるべく日陰を歩きたかったのだ。
 やがて、槍沢ロッヂに到着。ここの水場で水を飲み、補給もして、ちょっと休憩。
 歩きやすい道をひたすら歩いていって、やがて横尾に到着。ジュース買って休憩。ここからは前穂高岳なども見える。涸沢に行く人たちも多いから、ますます登山者が多くなる。
 横尾から先は、もう普通の道。徳沢、明神と歩いていくうちに、次第に登山者よりも観光客のほうが多くなってくる。
 11時4分、上高地バスターミナルに到着。

 さて、これからどうするか?
 13時20分のバスに乗ることにして、大正池まで散策することにした。大正池まではちょっと離れているので、またまた歩いた。でも、これまで長い登山道を歩いてきた者が、苦にするような距離でもない。
 大正池と田代池に行って、写真を撮った後、バスターミナルへ引き返し、昼食食べてから帰途についた。

大正池
大正池
田代池
田代池

 裏銀座の縦走については、4年前に燕岳〜蝶ヶ岳を歩いたときから、一度行ってみたいと思っていた。
 今回、もともと4日間の予定だったので、槍沢を下らずに、昨年同様、奥穂へ向かうという手もあった。(2日目に南岳まで行っていたら、2泊3日で帰るとしても北穂には行ったはずである。)しかし、やめておいた。
 昨年の夏は、表銀座から槍・穂高と縦走して、それはそれは充実した3日間だった。しかし、表銀座の部分は、私的には印象が薄れてしまっていた。裏銀座の山並や次第に近づいてくる槍を眺めながらの楽しいコースなのだが、槍〜穂高はそれ以上に強烈なインパクトがあったので、相対的に表銀座の比重は軽くなり、印象は薄れてしまった。まあ、昨年の場合は、あくまでも槍穂縦走が目的だったのだから、それで良しとしても、今回の場合、あくまでも裏銀座の山並を歩いていくのが目的だった。鷲羽岳〜三俣蓮華岳〜双六岳あたりを楽しみにしていたのだ。このあたりと穂高ではまったく対照的であるが、どちらがよいとか比較するようなものでもない。どちらもすごく好きな山なのだ。とはいえ、もし大キレットを越えていけば、またまた強烈なインパクトを受けて、裏銀座の思い出も薄れてしまうかもしれないと思った。だから、今回は、裏銀座の思い出を大事にして、あっさり下山することにしたのだった。

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槍ヶ岳山荘(5:45)→槍沢ロッヂ(8:05-8:10)→横尾(9:03-9:12)→徳沢(9:51)→明神(10:26)→上高地(11:04)

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