昨年の夏は、前半こそアルプスへ行ったものの、夏の後半から秋にかけて雨にたたられ続け、高い山へ行けなかった。だから、今年は行けるときに行っておこうと思い、海の日の3連休も梅雨明けしていれば、アルプスへ行くつもりだった。
しかし、九州南部は梅雨明けしたが、関東や中部地方はまだだったので、今回はおあずけ。
それで、今回は、この夏行きたいと思っていた丹沢のコース第1弾である。
西丹沢自然教室行きのバスはけっこう混んでいた。すべてが登山者というわけでもないが、暑いときでもけっこう山へ行く人はいるようだ。
河内川左岸の道路を北上するバスからは右手の斜面(というか崖)にヤマユリがいっぱい咲いているのが見えた。今回は最初から期待を持たせてくれる。
けっこう乗客が多かったバスだったが、玄倉で降りたのは私だけだった。
今回は、玄倉からスタート。ユーシンまで林道を10km走っていかなければならないから、楽じゃない。スタートして間もなく、ヤマユリが咲いているのを見つける。が、写真を撮りにくいところだったので、うまくは撮れず。でも、林道を走っていくと、お手頃な場所にも咲いていたので、すかさず写真を撮る。
青崩隧道は途中でカーブしているから、中は真っ暗。ヘッドランプの明かりなんて、足下を照らすのがやっとである。完全な闇に包まれるのはいい気がしないが、出口は見えなくても、向こうから入ってくる光が見えて、完全な闇ではなかったから気分的にホッとした。このトンネルは、これまでにも何度も通っているが、今まではいつも完全な闇の中をしばらく歩かなければならなかった記憶があるのだが…
青崩隧道を越えると、ところどころでケイワタバコを見つけた。けっこう散っていたが、まだまだいっぱい咲いていた。
玄倉から走ること約1時間半、ようやくユーシンロッヂに到着。そして、ロッヂ裏手の道を進んで檜洞へ。
堰堤群の上の釜を持った滝のところでまず写真を撮る。真っ青な水をたたえた釜は、まったく背が立たない深さであることは確かである。以前は、右端の岩にロープがつけられていたのだが、今回はなくなっていた。まあ、そのロープがあったとしても、ロープにたどり着くには腰(それとも胸?)まで水につからなければならないし、その気はなかったのだが。
一旦、上の登山道にあがり、しばらくは登山道に沿って歩いていく。登山道は石小屋沢の出合あたりまで続いているようだが、マーキングテープがつけられているところで登山道とは別れ、沢に下りていく。(昨年9月に遡行した際、本降りの雨で待機させられた場所よりも少し上流側に下りた。)
やはり、暑いときは、沢を歩いていくのが気持がよい。
檜洞は、水量豊富な沢で、表丹沢の沢とはかなり雰囲気が異なる。山奥深く、静かで、おそらく周囲1km以内に誰もいないという状態がしばらく続いたのではないか。沢に入ってから、金山谷乗越に着くまで誰にも会うことはなかった。
沢に入って、水の中をザブザブ歩いていくと広めの釜を持ったナメ滝登場。3回目だし、見覚えのあるところで、また写真を撮る。
写真を撮った場所以外は、いちいち覚えていられないから、どんなところだったか忘れてしまっている。まあ、遡行していく上で、特に問題となるようなところはなしである。
しばらくして、見覚えのある滝にたどりつく。濃いブルーの水をたたえた、いかにも深そうな釜を持った5m滝である。水量豊富で、表丹沢では見られない類の滝である。
この滝は、左にペンキのマークがあって、そこから登っていくのだが、今回はなんだか調子が悪い。もっと左の登山道を登ろうかと思ったが、結局のところ、そのまま登ってしまった。登ってから気がついた。以前来たときはロープがついていたのだ。ところが、今回はというと、ロープはあるにはあったが、ぶら下がっておらず、途中にまとまって置かれていた。(なんでだ?)
巻道から再び沢に下りて、遡行を再開すると、まもなく今度は広い釜を持ったナメ滝が現れる。その上にはもう一つ滝が見えているのだが、それがちょっと吹割の滝みたいな感じのV字峡である。
V字峡を右から越えていき、上から見下ろしてまた写真を撮る。
ここで、檜洞とユーシン沢の二俣となり、左の檜洞を遡行する。この後、檜洞はきれいなナメが続いたりしてなかなかよい。
しばらくすると、大きな岩がゴロゴロしだす。特に問題はないのだが、スタスタ遡行していくことができないから、ちょっと面倒でもある。
やがて、目の前にきれいな滝が登場する。4段からなる魚止ノ滝の最下段である。この滝の下は、ちょっとした広場になっているので、ここで昼食にする。
昼食後、遡行再開。
魚止ノ滝最下段は左に巻道があり、問題なく越えていける。途中、この滝を横から眺められ、写真を撮ることもできたはずだが、なぜか撮らずにそのまま登ってしまった。
魚止ノ滝の上段はナメ滝になっている。2段目を登ると、右にロープが設置された巻道があるので、そちらから越えていく。
魚止ノ滝を越えると、沢は傾斜も緩くなる。まだまだ先は長いが、歩きやすくなる。そして、次第に水量も少なくなってくる。
下駄小屋沢を左に分け、沢が左に曲がると、今度は右から乗越沢が入ってくる。ここで、本流とは別れて乗越沢に入っていく。
しばらく登って、やがて水が涸れたところで、靴を履き替えた。
ところで、今回、沢沿いのあちこちでケイワタバコが咲いていた。
他にも花はあったが、今回まったく予期せず見られてうれしかったのがウスユキソウ。丹沢では某所で見られるとガイドブックに書いてあるのを見ていたが、まさか今回のコースで見られるとは夢にも思わなかった。
あと、どこだか忘れたが、左手の岩の間から冷たい水が湧き出ているところがあった。暑いときはまったくありがたい湧き水である。落ちてくる水を手の平で受けているだけで手が冷たくなってしまった。
金山谷乗越目指して涸れ沢を登っていくと、雷がゴロゴロ鳴りだした。これはまずい! ということで、急いで登っていく。金山谷乗越で登山道に出ると、檜洞丸目指して急いで登っていく。雷がゴロゴロ鳴っている方へ向かって登っていくというのはいい気がしない。もしもひどい雷雨に見舞われたら青ヶ岳山荘泊まりとせざるをえないところだが、今のところ雨が降り始める気配はなかった。でも、遠くでゴロゴロ鳴っているから気が気じゃない。
当初の予定よりも遅かったが、最終バスには十分間に合うだろうという時間に青ヶ岳山荘に到着。本来なら、ここでちょっと休憩と思っていたのだが、雷がゴロゴロ鳴っている状況ではのんびり休憩している場合ではない。今回は素通りして、先を急ぐ。山頂へ向かって登っていくと、青ヶ岳山荘で誰かが鐘を鳴らすのが聞こえた。
最終バスが時間的に微妙な場合は、西丹沢県民の森経由で玄倉に下山すればもう一本バスがあるはずだから、こっちのほうが確実とも思ったが、雷ゴロゴロ状態では最短のツツジコースで行くほうがよい。バイケイソウの花も咲いていたが、もはやお花にかまけている余裕もなく、急いで下っていく。
途中、レスキューと思われる服装の人たちに会った。登山途中に休憩しているようだったので、青ヶ岳山荘に泊まるのだろうか。そのあたりで、ついにポツポツと雨が降り始めた。ザックカバーをかけ、ウィンドブレーカーを着るが、今の時期これは暑苦しい。雨のほうはたいしたことなかったので、ウィンドブレーカーは、その後、あっさり脱いでしまった。
ゴーラ沢出合に着く頃には、雨はやみ、薄日が差していたので一安心。すでに雷も去っていた。けっこう汗をかいたので、沢の水で顔を洗ってから、下山再開。
下のキャンプ場は随分とにぎわっていた。山の上ではしばらく雷がゴロゴロ鳴り続けていたが、そんなことがあったとは思えないようなにぎわいぶりだった。
今回、ユーシンロッヂから金山谷乗越まで4時間20分近くかかった。ガイドブックによると、これがコースタイムのようである。昨年は雨が降ってきたこともあって、急いで登ったが、今回は晴れていたし、あちこちで写真を撮っていたから余計に時間もかかったのだろう。しかし、昨年のタイムをもとに考えていたため、金山谷乗越では予想外に遅くて、帰りのバスをちょっと心配してしまった。