今年の夏は梅雨明けが早く、海の日の3連休をしっかり楽しめたのはよかったが、8月に入ってからはパッとしなかった。下旬になると前線が停滞してしまったからどうにもいけない。すっかりテンションが下がってしまった。
この週末は関東南部はいいものの他の地域はダメという予報だったのが、金曜の夜になって、ひっくり返った。東京、神奈川はいまいちだが、他は晴れ。急に変わっても対応できないのだ。
土曜日はダメだったが、日曜は晴れということで、丹沢に出かけていくことにした。
しかし、大倉に着いて丹沢を見れば、すっかり雲の中。さえない天気である。
戸川林道を終点まで走ると1時間近くかかる。今回は暑くないのが救いである。
林道終点から本谷へ向かう。本谷第二堰堤を越えていき、靴を履き替えようとしたら、靴にヒルが付いているのに気がついた。
立ち止まったのは、竜神の泉で水を飲んだときぐらいのものだったが、いつの間にくっついたのか? すかさず虫除けスプレーをかけ、念のため石ですり潰しておいた。
沢に入り、水流沿いを快適に歩いて行くと、やがて豪快な本谷F1が現れる。
本谷F1は、左にクサリが設置されているので問題ない。
F1を登ると、すぐにF2である。
本谷F2はクサリが切れてしまったが、代わりにロープが設置されていた。
そこで、ロープをつかんで滝の左を登っていくことにしたのだが、水量が多いせいか、滝に近づくと瀑風に水しぶきを浴びる。ロープをつかんで登っていけば、どうしても水しぶきを浴びることになるので、ザックカバーをかけることにした。しっかりしたスタンスがあるので、ロープをつかみさえすれば、安心して登ることができる。(もっとも、このロープがいつまで使えるかはわからないのだが・・・)あまり濡れないうちにさっさと登る。
F2からF3まではしばらく河原歩きとなる。このあたりを歩くのは久しぶりなので、以前の記憶もほとんど残っていなかったところだが、けっこう小滝があって楽しめた。大岩が現れるところは、大岩の下をトラバースしていったり、樋状の滝の脇を歩いていったりした。
そして、いよいよ問題のゴルジュとなる。ゴルジュの奥にF3が見える。
ゴルジュ入口の滝はクサリをつかんで右から越える。
釜の手前まで行ってF3を眺める。左岸に残置スリングがあるが、確保なしでは私には無理である。
F3の巻道は右岸にあり、ゴルジュに入って左の岩をクサリをつかんで登っていく・・・はずだったのだが、このクサリが切れていた。上の方にクサリが下がっており、岩を登っていけばつかむことができるのだが・・・その先はどうなっているのか? F3のクサリ場は落ち口へのトラバースがいやらしいところである。クサリがあるとは言え、ここは事故もあるというし、要注意箇所である。なので、そちらがどうなっているか様子を知りたいところだが、下からは見えず、様子がわからない。もしも、こちらのクサリも問題があるなら危険は犯したくない。そこまで行ってみて引き返すというのも嫌なものである。それなりにホールド、スタンスともにあるので、登ろうと思えば登れるだろうが、下りるのは怖い。それで、結局、今回はやめることにした。以前、何度か登ったこともあるし、今回無理して登らなくてもいいや・・・安全第一である。
ゴルジュの入口まで戻って、右岸を登っていけば、書策新道に出ることができるのだ。
しかし、右岸を登っていってもなかなか登山道に出なかった。
しばらくして、登りすぎてしまったのではないかと思ったのだが、はたして書策新道に出て気がつかないなどということがあるだろうか? 沢の音が聞こえているし、もう少し、あの辺に登山道があるのでは・・・なんて思って、登りすぎてしまった。
絶対間違いなく登りすぎたので、斜面を下っていった。登ってくる際、最初は真っ直ぐに登ったが、途中から右に左に移動したため(そもそも、右に左にというのがおかしく、この時点ですでに登りすぎていたことは間違いない。)、沢音目指して、下りやすいところを下っていった。聞こえてくるのはF5あたりだろうから、それより下流側に下っていった。
沢の音が近くなり、そろそろと思ったところで、周囲を見回すと、登山道が見つかった。そして、登ってくる際に登山道に気づかなかったわけもわかった。今年の春に書策新道を通った際に気がついていたことだが、書策新道はあちこち崩れていて、かつては明瞭だった登山道が完全に消えてしまっているところがあったのだ。それで、書策新道が通っているところまで登っても、そこに登山道が通っていると気づかずに登りすぎてしまったようだ。
とにかく、なんとか書策新道に出ることができたが、かなりの時間をロスしてしまった。
本谷F5付近の崩壊地を通過したところで、F5の下へと下っていった。
F5は右の岩に設置されたクサリをつかんで登っていくことになっていたのだが、ここでもクサリは切れており、今は上から滝壺の方に垂れ下がっているだけだった。以前のようにクサリをたよりに登ることはできなくなった。(太いクサリで好きではなかったので、登らなくていいとわかるとホッとしてしまった。ここも何度か登ったことはあるから、もういいや・・・)
F5の巻道はさきほど下ってきたところが手っ取り早いのだが、滝の右からも巻くことができるらしい。というわけで、行ってみた。クサリの一番下の支点から右の踏み跡に入っていくのだが、けっこう歩かれているらしく、巻道は明瞭になっていた。しかし、木の根をたよりに登っていくようなところもあるので、左から書策新道に登ってしまうほうが山を荒らさなくていいかもしれないと思った。
F5の上で書策新道が横切る。
本谷はしばらくゴーロが続く。沢が右に曲がると、左に沖ノ源次郎沢のF1が見えてくる。
正面から木ノ又大日沢が入ってくるところで、本谷は左に曲がり、すぐにF6である。F6には倒木がかかっており、写真的にはガッカリである。
F6を左から巻くと、再びゴーロ歩きとなる。
しばらくいくと、4mぐらいの滝が現れる。水流の左端から簡単に登れるのだが、水量が多いせいか、思いきり水を浴びる。
F7は小滝の連続といった程度で、あっさり通過。
遡行していくうちに、水が冷たくなってきた。
左から金冷シ沢が入り、小滝を越えていくと、やがてF8が見えてくる。大倉を出発したときは、中腹より上はガスに包まれていたが、この頃にはガスも晴れて、F8もはっきりと見えた。
F8は以前とまた少し雰囲気が変わったようで、3段ぐらいになって落ちてくる水は広がりながら落ちていた。落ち口付近の流れが変わったのか、単に水量が多かったせいなのか?
F8の周辺はビランジが群生しており、特に滝の上の方は遠目にもピンクの花がいっぱい咲いているのがよくわかった。
F8は右から巻くのだが、そのためにはまず滝の近くに寄っていかなければならない。滝の下では広く飛び散る水しぶきを浴びるので、急いで右のルンゼに逃げ込む。ルンゼを登っていくと、ロープが現れ、小尾根に出る。そして、振り返って、写真を撮る。
この先、巻道にはロープが設置されているが、1箇所でロープが切れかかっていた。
巻道は第1ルンゼを横断した先がちょっと悪いが、慎重に通過していけば、あとは問題ない。登山道並みに明瞭な踏み跡を下っていけば、F8の上に下りられる。
大高巻きが終わり、遡行を再開。
二俣を右に入ると、F9が現れる。
F9も右から巻くが、巻道は明瞭で問題ない。
F9を越えると、もうほとんど終わりである。石積み堰堤はかろうじてそれとわかる程度に残っていた。その上のガレに出ると、水も涸れる。
源頭のガレで靴を履き替えようとしたら、ズボンの裾にヒルが1匹くっついていた。F8、F9と巻いたので、どこかでくっつかれたようである。すかさず虫除けスプレーをかけて落とすと、念入りに始末した。
ガレを登り、傾斜がきつくなったところで、左の尾根に取り付けば、あとは踏み跡たどって塔ノ岳直下の表尾根に出た。
今回は、F3手前で書策新道に登っていこうとして、登りすぎ、大幅なロスがあったため、塔ノ岳到着も予定よりも大幅に遅れてしまった。それで、尊仏山荘でビールだけ飲んで、あとは大倉尾根を下山した。
尊仏山荘では、一人でよく沢に行くよな〜、怪我もなく、と言われた。
沢で怪我をしたら洒落にならないので、無理せず、安全第一で行かねばならない。今回、F3のクサリ場は登らずに、トホホなことにはなったが、危険を冒さずにいったのだからいいじゃないか。
沢登りのルートで、立派なクサリが設置されているところなど本谷ぐらいのものだろうが、このクサリとて設置されてすでに何年経ったことか? 永遠に使用できるわけもないから、いつかはこうなることになっていただろうが、F2、F3、F5と3箇所も切れているというのはどういうことか? 登っている途中で切れたとしたら、事故につながる可能性が大きいが、そういう話は聞いていなかった。ということは、古くなって危険になったので、切られたのだろうか? F2はロープが設置されていたので、今のところはいいかもしれないが、はたしていつまで使えるか? そして、もう一つ気になるのが、F3の落ち口へのトラバースのクサリがどうなっているのか? 情報収集したいところである。