勘七ノ沢

日付 :2009/04/19
コース:大倉→二俣→勘七ノ沢→花立山荘→塔ノ岳→大倉

 勘七ノ沢は、水無川本谷と並んで、表丹沢を代表する人気の沢である。
 しかし、ガイドブックには中級のコースと紹介されており、初心者が単独で安易に遡行できる沢ではない。
 だから、事前によく調べて、「行ける」となって、初めて行くことにした。
 「丹沢の沢を歩く」という本は、初心者向けに書かれたガイドブックで、普通ならコメントなしとか「簡単」と書かれるような場所でも、けっこう詳しく書かれている。おかげで、「中級」の沢であってもかなり容易に遡行できるからありがたい。
 勘七ノ沢は近年ヤマビルが多いらしいが、今頃ならまだ大丈夫とみて行くことにした。

 勘七ノ沢は二俣から入渓。
 最初は河原歩きだが、堰堤を左から越えていくと、いい雰囲気になってくる。
 右から小草平ノ沢が出合い、左に折れると、F1(5m)である。ここは初心者が登れる滝ではないので、写真を撮るだけである。

勘七ノ沢F1
勘七ノ沢F1(5m)

 F1から引き返して、小草平ノ沢に入ると、大倉尾根小草平への登山道が横切っている。この登山道を利用してF2の上にある堰堤まで大きく巻いていくのだが、小草平ノ沢F1が見えているので見物に行く。5mほどの滝が横向きに落ちている。

小草平ノ沢F1
小草平ノ沢F1(5m)

 登山道を5分ほど登っていくと、左に明瞭な踏み跡がある。誤って入らないようにロープが張られており、すぐにわかる。明瞭な踏み跡をたどっていくと、F3下の河原に降りられる。
 少し行くと、F3(8m)である。

勘七ノ沢F3
勘七ノ沢F3(8m)

 F3も当然のごとく最初から巻きである。F3の少し手前から右のヒノキの尾根へ登っていき、F3の上に出る。ロープを出して、落ち口へ下降する。
 続いて、2段12mのF4が現れる。

勘七ノ沢F4
勘七ノ沢F4(2段12m)

 下段3mは右から簡単に登れるが、上段の登りは下からは見えないので、行ってみないことには登れるかどうかわからない。下段の3mは簡単とはいえ、往復するのも面倒だから、もっと簡単な方法で行くことにする。
 F4の手前、右岸から流れ込む小沢に入って、3mの滝の手前で右の尾根に入る。F4の落ち口へ向かってトラバースすると明瞭な踏み跡があり、F4を越えてしばらくすると自然に沢に降りられた。
 F4の上から堰堤が5つ続く。最初の4mは右のリッジを登ってトラバース、2つめの3mは左から簡単に越える。3つめの7mは左端の窪を登り、4つめの9mは右手前からのびる踏み跡をたどり、最後の3mは右から簡単に登った。
 5つの堰堤を越えていくと、前方にF5の大滝が見えてくる。
 F5の大滝では前のパーティーがザイルを出して直登していた。滝の写真を撮るのが目的だったので、全員が登り終えて姿を消すまでしばらく待つことになった。

勘七ノ沢F5
勘七ノ沢F5(12m)

 F5大滝は左のルンゼから巻いていく。ルンゼを5mほど登って、落ち口のほうへトラバースしていくが、踏み跡は明瞭である。ガイドブックには、落ち口のすぐ上からの下降は失敗すると滝下へ真っ直ぐ落ちることになると書かれていたので、もう少し先からロープを出して沢に降りた。
 続いてF6。ここまでの滝にはFナンバーのプレートがかかっている。
 下段3mは左から簡単に登り、次は残置シュリンゲがあるがしぶき浴びる。夏ならともかく、まだあまり濡れたくないので、右から巻くことにするが、右も一枚岩のためけっこう高巻きすることになり、判断を誤ったか? 沢に降りるのにロープを出さねばならず、多少濡れても直登すべきだったようだ。

勘七ノ沢F6
勘七ノ沢F6

 F6の上は、ゴルジュとなる。ゴルジュは数メートルの滝が6段連なっている。
 最初の滝は傾斜も緩く簡単。2段目は2mほどだが、ゴルジュの中では一番むずかしい。とはいえ、残置シュリンゲがあり、しっかりしたスタンスもあって、普通のガイドブックならコメントなしか「簡単」と書かれることだろう。その先も特段むずかしいところはない。

ゴルジュ
ゴルジュの連瀑

 ゴルジュを抜けていくと、次に5mぐらいの滝が現れ、そのすぐ上に石積堰堤が見える。
 左から簡単に巻いて、石積堰堤は右から越える。

石積堰堤下の滝
石積堰堤下の滝

 その先もまだいくつか滝があり、まだまだ長いこと歩かなければならないが、もはや見るべきものはほとんどない。
 右から沢が入り、本流を登っていくと、左にガレを見えてくる。このあたりで伏流になる。
 右からガレが落ちている先で二俣となり、本流は左のようだが、右に入る。目印があるので迷うことはない。
 少し登ると、水流のある10mほどの滝となるが、傾斜も緩く問題ない。
 沢の中央に大岩があるところで右のルンゼを登っていく。このあたりも目印があり、迷うことはない。
 急なルンゼを登っていき、やがて土の斜面に変わると、右の方へ登っていった。
 やがて開けたところに出て、すぐ上に花立山荘が見えた。
 花立山荘の前にはけっこう休憩している登山者がいたが、登山道とは反対側からひょっこりと彼らの前に出て行ったのだった。

 F5の手前で、しばらく前のパーティーが登るのを待っていたりしたこともあり、花立山荘到着はかなり遅くなったが、日没までには十分に時間があったので、塔ノ岳に登り、尊仏山荘でビールを飲んでから下山した。当初は、鍋割山によって下山するつもりだったが、さすがに時間的に余裕がなかったのだった。

 時期的にまだ思いきり水浴びして沢を登る気にはなれないが、新緑がきれいな時期であり、F5の下のあたりでもミツバツツジが咲いていた。
 さすがにまだヤマビルに会うこともなく、楽しめた。
 そろそろイカリソウの咲く時期と思っていたが、ちょっと勘違いしていたようで、まだわずかに咲き始めたといったところだった。

イカリソウ
イカリソウ
丹沢・駆け巡り > 丹沢ランニング・レポート > 2009年 > 2009/04/19(勘七ノ沢)