この冬は20年ぶりの寒い冬だという。12月はやたらと寒かった。そのせいか、このところあまり寒さを感じなくなった。たいしたことないじゃんと思ってしまうのである。
12月の時点で、すでにあちこちの滝が凍結しているというので、行こう行こうと思っていた。本当は今月上旬に予定していたのだが、8日の朝は出遅れたため中止、14日には雨が降ったりしたこともあって、延び延びになっていたのだった。
西丹沢自然教室を出発して、最初の目的地は下棚である。滝の上の方は日が当たるせいか氷がついていないが、周囲は氷で白くなっていた。昨年見たときよりも氷の付きがいいようである。
下棚の次は本棚である。下棚には誰もいなかったが、本棚に行ったら、写真を撮りに来た人たちがけっこういた。本棚の右側にはびっしり氷が付いていた。やはり、昨年よりもずっとよい。
下棚と本棚でしばらく写真を撮った後、畦ヶ丸へ向けて登っていく。今回は滝の見物が目的だから、あとはもうどうでもいいと言わんばかりに、淡々と登って行く。
畦ヶ丸の山頂で、昼食。
畦ヶ丸からは富士山も眺められるが、周囲の木が邪魔になる。それで、写真は避難小屋から先、少し下っていったところで撮った。滝の見物が目的だったから、あまり景色のことは気にしていなかったのだが、すっきり晴れて、富士山に雲がかかる気配もなかった。
今回は、畦ヶ丸から他の山へは向かわず、あっさり下山する。
西沢出合から畦ヶ丸に登って大滝橋に下山というのは、畦ヶ丸を登る際の一般的なコースだが、実は、今回が初めてである。それでは短すぎると思うのが理由であり、それじゃ、なぜ今回はこのコースを行くのかといえば、氷瀑を見物するためである。(ただし、登山道沿いにある滝ではないから、途中で登山道からはずれていくことになる。)
というわけで、次の目的地は地獄棚である。
地獄棚は、上の方は氷が付いていないところがあったが、下は完全に氷に覆われていた。ただし、氷の下を水が流れていた。とはいえ、これだけの大滝が氷に覆われているさまはなかなかの見物である。見に来た甲斐があったというものである。
なお、地獄棚沢の出合から本流を遡っていくと、もう一つの大滝、雨棚があるが、今の時期、とてもじゃないが行く気にならない。雪や氷のない時期でさえちょっとやばいところがあるのだ。氷の付いている今なら、地獄棚沢出合のすぐ上にあるナメ滝でさえ登る気はしない。
地獄棚から沢沿いに下っていく。何度か沢を渡るのだが、久しぶりだから、どこで渡るか忘れている。で、ここは右岸を行くんだっけと思いつつ下っていくと、踏み跡は右に曲がって登っていく。上にはしっかりした道がついているのが見えたが、そうか、これは地獄棚沢の上の方を横切る仕事道だな。これを登ってしまうと、再び一軒屋避難小屋に戻ってしまうんだっけ? で、引き返して、左岸に渡ることにした。沢はあちこち凍っているから注意していたのだが、それでも足を滑らせてしまった。ナメ状のところで、大したことはなかったが、尻を濡らし、両手をついたから手袋も濡れてしまった。「おー、冷てーっ」(ジャージもランパンも乾きが早いから、その後、バスに乗るまでにはすっかり乾いていた。)
気を取り直して、やばそうなところは慎重に歩いていくと、下の方に数人の姿が見えた。目的地は私と同じで、沖箱根沢だった。沖箱根沢に入ると、すぐにF1である。「丹沢の谷110ルート」を見ると、F1は20mとなっているが、この20mというのはどこからどこまでが20mなのだろう? 見た感じでは、それほど大きな滝には見えなかった。
沖箱根沢F1は全面的に凍っていたが、氷の下を水が流れていた。F1の上も滝が連続しており、凍結しているようだが、私はF1を写真に撮ると、そのまま引き返して帰ることにした。
他の人たちの目的は写真ではなかったようで、沢を登る準備をしていた。
沖箱根沢F1から引き返して、本流を少し下り、東海自然歩道に上がると、大滝橋へ下っていく。途中にある大滝は登山道から見下ろすだけにした。
今回はちょっとコースが短かったので、バス停で時刻表を確認の上、丹沢湖まで走っていくことにした。丹沢湖バス停で5〜6分待ってバスに乗った。よいタイミングだった。