水無川本谷

日付 :2004/08/14
コース:水無川本谷

 F8が崩壊して以来、部分的に歩くことはあっても通して歩くことのなかった水無川本谷。
 今回は、久しぶりに水無川本谷を遡行することにした。

 毎度お馴染みの書策新道の入口である源治郎沢出合からスタート。
 書策新道は登らず(当たり前だ!)、まずは本谷に沿っての川原歩き。本谷第2堰堤のところでは、最近は巻道ができたようだが、従来どおり、堰堤の隅にロープがぶら下がっているので、そこから登る。そして、しばらく歩いていって、適当なところで、水の中に入る。こういう暑いときは、沢を歩くだけでも涼しくて良い。
 至る所で、しばらく前に人が通ったことを示す濡れた足跡が残っており、他にも遡行している人がいることはわかっていたが、F1で集団に出くわした。ちょうどF1を楽しそうにシャワークライミングしているところだった。全員登るのを待っていたのでは時間がかかってしかたがない。しかし、左からクサリのついているところを登っていく分には、彼らの邪魔にはならないから、写真を撮った後、さっさと巻道を登っていく。クサリに沿って登っていく分には、特に怖いところではないので、難なく登っていく。

F1
F1は、団体さんがシャワークライミングを楽しんでいた

 F1の上でセドノ沢が出合う。右がセドノ沢で、左が本谷である。本谷は、すぐにF2となる。F2は、右の岩も登れるということで、ルートを目で追うが、目で追うだけで、当然のごとくクサリを伝って左から登る。

F2
F2 (5m)

 大岩の下を通り、しばらくするとF3のあるゴルジュとなる。手前の小滝をクサリをつかんでへつって登る。F3は、直登するにも巻道を行くにも事故の多いところであり、注意看板が貼られている。当然、右岸のクサリのついた巻道を行く。この巻道は、その時によって、あっさり通過する場合もあれば、怖いと感じることもあるところである。
 まずは、クサリに沿って、まっすぐに上に登っていく。クサリを補助的に、岩をつかんで登っていく。初めて来たときは、この登りすらちょっと苦労したような気がするが、実際のところ、この登りで苦労するなら、ここはやめたほうがいいかもしれない。ゴルジュ手前の右岸を登れば書策新道に出られるのだ。(もっとも、その場合はF5上まで書策新道を行くことになる。)一気に上まで登ると、問題のトラバース。クサリはしっかりしているので、足場を確認して落ち口に向かって下っていけばいいのだが、最後まで気が抜けないところである。トラバースの際、もろに下が見えない分、恐怖感はさほどではないが、危険箇所であることに変わりはない。しっかり足場を確認である。

F3
F3

 F4は、なぜかこれまで一枚も写真を撮っていなかった。なぜだろう? 今回は撮っていこうと思っていたのだが、やっぱり撮り損なった。F3を通過してすぐに現れる滝は、左岸にクサリがついているが、巻かずとも左から簡単に登れるので、そちらから登っていくと、F4のプレート。滝が続いているけど、今登ってきた滝のほうが少し大きい。写真を撮るなら、そちらの滝だろう。だからといって、登ったばかりの滝を下りたりしないから、いつもこうして写真を撮り損なっていたわけだ。久しぶりだったので、そんなこと覚えているはずもなかったのだった。
 F4の上は、すぐまたF5となる。下段はどうってことないが、上段は右壁の斜上バンドをクサリを伝って登ることになる。このクサリも、その時々で印象が異なるところである。あっさり登ってしまうこともあれば、怖いと思うときもある。特にむずかしいこともないが、怖いと思うなら、F5下で左からはいる名無シ沢を登れば、書策新道に出られるので、素直に巻いた方がいい。今回は、緊張感はあったものの、特に問題なく登っていった。慣れていないときついかもしれないが、それなりに手掛かりはあるし、足場もしっかりしているから、一歩一歩確実に登っていけばいい。

F5
F5

 F5上で書策新道が横切り、しばらくゴーロ歩きが続く。沢が右に曲がると、まもなく正面から木ノ又大日沢が出合う。本谷は左で、すぐにチョックストンのF6となる。F6の落ち口に変わりはないが、水の落ち方が以前とちょっと変わっていた。F6は、右岸の巻道を使って、越えていく。

F6
F6

 F6の上もまたしばらくゴーロが続く。F7は、以前来たときもそうだったと思うが、すでに滝が崩れてしまっており、単なる小滝が続いているだけといった感じである。F7を過ぎて、さらにしばらく登っていくと、やがてF8が見えてくる。
 F8手前からピンクの花があちこちに咲いており、目に入ってくる。ビランジである。F8の下は、あたり一帯あちこちにビランジが咲いていた。

ビランジ
F8の下はビランジがいっぱい咲いていた

 F8を訪れるのは、崩壊後は2度目である。一昨年の春に訪れたときは、巻道が消失していたが、このあたりの地形はその後また少し変わったのかもしれない。すぐに巻道とわかる第2ルンゼを登っていく。従来の巻道よりも、さらにけっこう高巻くことになる。上部で中間リッジと第1ルンゼを横断し、本谷左岸の尾根を越えると、本谷に下りていく明瞭な道がついていた。こうして、無事に本谷に戻ると、遡行を再開。

F8 F8
F8(右の写真は左岸の巻道から)

 F8の上で、まさかまだ咲いていないだろうと思っていたイワシャジンが咲いているのを見てビックリ。これは、もしかして、あの花も咲き始めているのでは・・・と思った。

イワシャジン
イワシャジン

 F9は、以前見たのと変わっていないようだった。当然のごとく、右から巻く。
 F9の上に石積の堰堤があって、そこで水が涸れるというのは変わりなかったが、石積の堰堤はすでに崩れてしまっていた。まあ、とりあえず、ここで休憩。昼食にした。そして、靴を履き替えて、源頭部のガレ場を登っていく。傾斜がきつくなってきたところで、左の樹林帯に逃げ込むと、踏み跡があり、踏み跡はすぐにはっきりとした道になる。そして、その道をたどっていくと、やがて表尾根の登山道に飛び出し、塔ノ岳までものの数分でたどり着いたのだった。

 久しぶりに本谷を遡行してみて、やっぱりというか、F3とF5のクサリ場では緊張した。2週間前に槍穂縦走したが、大キレットよりも今回のほうがよほど緊張した。まあ、大キレットは難所とは言っても、一般ルート。特に難しいところがあるわけでもない。一般ルートと比較してもしょうがないといったところだろうか。

 さてさて、今回のコースは、「水無川本谷」としか書いていないのには訳がある。
 イワシャジンの花が咲いているのを見て、あの花も・・・と書いたが、某所でその花が咲いているのを見つけてしまった以上、コースを伏せておかざるを得ないのだ。まったく、もどかしい話だが、しかたがない。この花に関しては、盗掘防止のため、一切場所は明かさないという方針でいくしかない。

サガミジョウロウホトトギス
サガミジョウロウホトトギス
丹沢・駆け巡り > 丹沢ランニング・レポート > 2004年版 > 2004/08/14(水無川本谷)