槍穂縦走からまだ5日しか経っていない。槍穂縦走は、本当におもしろかったが、あまりにもおもしろかったので、どうもまだ他の山に行こうという気がしない。(実のところ、丹沢さえもさほど意欲はなかったのだった。)だから、夏山シーズン真っ盛りとはいえ、遠出する気になれず、かといって、この暑さの中を走るのもたいへんである。そんなときは、やっぱり涼しいところへ行くしかない。北アルプスから帰ってきて間もないこともあり、たいしたコースも思いつかないから、夏のメインルートをいくことにする。つまり、葛葉川本谷を遡行して、三ノ塔から塔ノ岳、鍋割山といったコースである。
菩提から葛葉ノ泉までが暑くて、汗をかいた。今日一番の大汗である。
葛葉川本谷は、今年はこれが3回目。またか、と言われそうだが、メインルートなのだからしかたがない。今の時期、高い山へ行ってしまう人が多いこともあって、今日はさほど人に会わない。それでも2グループほど遡行していた。今回もあちこちで写真を撮っていくつもりだったのだが、くもっており、薄暗くて、きれいに写真を撮れる状況でもなかった。雨が降ってきても不思議ではない薄暗さだったが、なんとか一日天気はもってくれた。
今回は、予想外に水量が多かった。山では最近、雨が降っていたのか? 6月よりも水量多めだった。少ないときは、ちょろちょろとしか流れていない富士形ノ滝も、今回は下の写真のように、けっこうな水量である。
遡行終了地点で昼食。そして、三ノ塔尾根にとりつく。今日はそれほど人に会わなかった葛葉川本谷だが、遡行終了地点から三ノ塔尾根までのあちこちにワラジがぶらさがっていた。それだけ遡行者の多い沢ということである。
夏は暑さから敬遠されがちな表尾根もガスがかかっていたから涼しかった。景色なんて何も見えないけど、どうせ見慣れた景色だ。夏はガスがかかっているほうが涼しくて良い。
そろそろ咲き始めるのではと期待していたビランジが崩壊地で咲いていた。以前、この花を見て、「ハクサンフウロが咲いてる!」と言っていたおばさんがいたけど、さすがに丹沢にハクサンフウロはないよね。
木ノ又大日付近はマルバダケブキの花がいっぱい咲いていた。
今回は、北アルプスの疲れか歩くペースがやたらと遅かったようだ。
3時頃になってようやく塔ノ岳に到着。山頂は人よりもシカのほうが多かった。山頂西側に10頭ほどのシカがくつろいでいた。尊仏山荘の東側にもいたから、11頭かな? 登山者は、この時期まったく少なくて、山頂にチラホラいる程度。
時間が遅かったこともあり、鍋割山へ向かう道では誰にも会わず。
鍋割山からの下りでもやたらとシカに会った。時間が遅かったので、登山者にはまったく会わず。普通なら、遅い時間に下りていっても、誰かしら西山林道を歩いている人がいるものだが、今回は二俣にいた人たち(この人たちは泊まりかな?)のほかは誰にも会わず。やっぱり、この時期、丹沢は一年で最も静かな時期と言えそうである。