今回は、先週行く予定だったコースを行くことにした。
今回の目的は同角沢の遺言棚である。この滝は、中川川西沢の本棚や早戸大滝などと並び丹沢を代表する名瀑ということだが、同角沢の上流にあるため、普通はおいそれと見に行くことができない滝である。
玄倉からユーシンまでは林道を走っていく。距離にして10km。下りなら1時間で下れるが、登りだとやはり余計に時間がかかる。青崩隧道は、ひとりで歩きたくないところだが、今回はちょうど前を行く2人にトンネルで追いついたので、怖い思いをすることもなかった。
ユーシンロッヂの横の橋を渡って、同角山稜に取り付く。いきなりザレの急登がある。クサリがついているが、下りの場合は滑らないよう注意が必要である。
しばらく登っていくと、ところどころで周囲の山が見えてくる。よく見れば塔ノ岳ではないか。同角山稜は、主脈の展望のよいところなので、大石山の山頂からは、蛭ヶ岳〜丹沢山〜塔ノ岳〜鍋割山といった山並を一望できる。また、西に目を転じれば富士山も見えた。アプローチが長いため登山者は少ないが、展望の良い山である。
大石山で昼食を済ませた後、しばらくは同角山稜を登っていく。そして、石小屋ノ頭の少し手前で小川谷への径路に突入。この径路は、一般に同角沢などを遡行した後に使われている道なので、整備された登山道と比べるとはるかに歩きにくいが、それほど悪い道でもない。赤と黄色のテープがいっぱい付けられているので、これをたどっていけば、同角沢の遺言棚の上に出ることができる。今回は遺言棚を見るのが目的だから、巻き道を下っていった。同角沢F7の遺言棚は3段で45mの滝である。この滝を登るなら、遺言書を書いてから登れという意味だろうが、他の沢の大滝と比べれば易しそうではある。
遺言棚の写真を撮った後は、巻き道を登り、東沢乗越を目指す。始め、沢を登りすぎ、間違いに気付き、引き返し、テープの付けられているところから、沢を離れて、東沢乗越への径路をたどる。
東沢乗越からしばらくは急な下りである。やがて水が湧き出してくるあたりからは、傾斜も緩くなり、沢の流れに沿って下っていく。当初は、沢の中を歩いていこうと思っていたが、靴を濡らさずとも、右に左に沢を渡りながら、下っていけたので、沢の中には入らなかった。
やがて、東沢と小川谷の合流点に出た。沢はけっこう水が流れているが、小川谷廊下の遡行終了地点であり、ここで休憩している人たちがいた。小川谷を渡り、赤い矢印を確認して登山道に出ると、明瞭な道になる。一部、崩れていて、ロープが張られているところがあった。一般の登山道なら、かなり危険な場所ということになるが、この道も普通、沢登りをしてきた人が利用する程度だろうから、さほど問題なく通過できるだろう。
明瞭な道を進んでいくと、やがて西丹沢県民の森のところで林道に出て、あとは、ひたすら玄倉まで林道を下っていった。
大石山〜東沢乗越〜小川谷は、一般ルートではありません。沢登りをされる方なら、問題なく歩けるでしょうが、一般の登山者には危険です。道に迷っても自力で対処できる方以外は、安易に立ち入るべきではありません。