御殿場線は混んでいた。
谷峨駅では大勢の人が降りたが、どうやら大野山の山開きに行く人たちのようである。大野山山開きでは先着1,000名に牛乳を無料で配布するというから、相当の人出があるのだろう。
谷峨駅から乗ったバスは混んでいて座れなかったが、玄倉までだから大したことはない。
玄倉で降りたのは私一人だけだったが、出発の準備をしている間にやって来た次のバスから数人が降りた。そして、丹沢湖ビジターセンターの人がやって来て、登山届を書いた。
山がきれいな季節になってきた。玄倉からユーシンまでは長い林道だが、目に入る山肌は春らしく萌黄色で、見ているだけで気持ちがよい。林道のあちこちでミツバツツジも咲いていた。
玄倉林道ではチラホラと歩いている人を見かけた。新青崩隧道の中ではユーシン側から来る人とすれ違い、こちら側から歩いている人を追い抜いた。同角沢出合では林道脇にザックが置いてあったので、誰かが下に降りていたようだ。そして、ユーシンロッジの前の広場で休憩している人たちもいた。
ユーシンロッジと公衆トイレの間の道から山に入る。薄い踏み跡をジグザグにたどっていくと、尾根の末端に登りつく。あとは、尾根に沿って登っていく。始めはヒノキ林である。ミツマタもあって、まだ花が咲いていた。
朝日向尾根は登っていく分には迷う心配はないが、部分的には不明瞭なところもあった。なだらかな斜面もあるが、急斜面もある。細い尾根もあれば、広々とした部分もあった。始めの方には白ザレのヤセ尾根もあって、下りの場合は注意が必要である。
P1196mを越えると、一旦けっこう下っていくことになる。鞍部まで下ると、あたりは広々としたブナ林でたいへん気持ちの良いところだった。倒木に腰掛けて、昼食にした。
休憩後、再び登っていく。
基本的に展望が開けるところはないが、それでも右手の主脈や左手の同角山稜などが樹間に見えた。
臼ヶ岳への最後の登りは急な斜面で、ちょっときつい。それなりに踏み跡はあるが、下りの場合は支尾根に入らないように注意が必要である。
急斜面を登り終えると、シカ柵が現れ、柵の間を進んで行けば臼ヶ岳の山頂である。
臼ヶ岳から檜洞丸へ向かう。
主稜を縦走する際は、いつも西丹沢から大倉へ縦走しているので、逆方向に歩くと、歩き慣れたルートの気がしない。
マイナーなルートを登ってきたあとであり、明瞭な登山道でしかも神ノ川乗越までは下りだから、グッと楽になった。とはいえ、神ノ川乗越から先はアップダウンを繰り返し、檜洞丸へは急な登りも待っているので、そうそう楽ばかりではなかったのだが・・・
急登が終わり、なだらかになってくると、バイケイソウの若葉が目に入ってきた。
青ヶ岳山荘までたどり着いたところで、休憩、と思ったら、ドアの鍵がかかっていた。
「あれ? 留守?」
と思ったが、そんなわけがない。窓は開いているのだから。
どこかで作業でもしているのかと思って、様子をうかがってみたら、2階で布団干しをしていたのだった。声をかけると、裏から入ってくれとのこと。ついでに鍵を開けといて・・・というわけで、しばらく休憩することにした。連休で登山者が多かったようで、すでにビールやジュースの類は売り切れて、あとは水しか残っていないようだった。
一昨年の年末に泊まったときはレトルトのカレーだったが、ボッカさんが入ってくれるようになったので、食事はずっと良くなったそうである。
連休中とあって、泊まりの人がボチボチやってきたところで、下山することにした。
素直にツツジ新道を下っていくと、あちこちでミツバツツジが咲いていた。