前回、丹沢の西の端を歩きながら、次回はまたセドノ沢に行こうと考えていた。
セドノ沢左俣は大滝の巻道も明瞭であり、手頃な滝も多く楽しめる沢である。それで、また行こうと思ったのだが、セドノ沢は右俣の大滝を見たいとも思っていた。また、久しぶりに本谷を遡行するのもいいのではないかと考えた。
しかし、セドノ沢右俣は左俣よりも難しそうだし、本谷は遡行者が多いかもしれない。そこで、今回は現地に行ってから、どこを遡行するか決めることにした。
新茅荘の前の広場では、沢登りの準備をしている団体さんがいた。新茅橋の手前、ちょうど沢に下りていくところには車が2台止められていた。新茅ノ沢を遡行する人は多そうだし、それなら本谷はもっと多いかもしれない。
が、本谷に入って、F1まで行っても他の遡行者はまったく見なかった。
それなら、本谷を遡行しようかと思ったのだが、F2をよく見ると、クサリが途中で切れて短くなっていた。6年も遡行しなかったので知らなかったのだが、いつの間にか切れてしまっていたのだった。F2をクサリを伝って登る場合、どうしても下の方で水を浴びることになる。クサリをつかんでさっさと登ってしまえば、さほど濡れることはないのだが、クサリが切れてしまったとなると、クサリをつかむまでは慎重に登る必要がある。ゆっくり登れば、それだけ濡れることになる。夏ならまだしも、今はあまり濡れたくない。
右手の乾いた岩の上にはスリングが下がっており、ホールド、スタンスはあるので登れそうだが、高度感があり初心者向きではない。
そんなわけで、本谷を遡行するのはやめて、セドノ沢へ向かう。
セドノ沢F1は水流の左を登るのがもっともやさしいという。よく見ると、確かに登れそうだが、やっぱり今回も膝まで水につかって右から登っていった。
続くF2を簡単に越えると、二俣になり、今回は右俣に入っていった。
しばらく行くと、右俣F1登場。
右俣F1は私には登れそうもないから、その手前の滝も登らない。
そして、左のガレを登って巻いていく。高く登りすぎているとは思ったが、ガレ場を簡単に抜け出せず、かなり高く登ってしまった。その結果、右俣F2を見下ろすことになり、そのままF2の落ち口を目指してトラバースしていった。
続いて現れる滝は傾斜もゆるく、ようやく私にも登れる滝の登場である。すぐ上にはF3の一部が見えていた。
F3は2段13mの滝だが、3段にも見える。
下段の下部を登ると傾斜がゆるくなり、右へ移動。下段の上部は右側が一段高くなっていて傾斜もゆるいナメ状。ただし、右上の岩がせり出しており、荷物が引っかかりそうで、ちょっとやだな〜。ここで滑れば、下まで滑り落ちてしまうので、左足を置く一歩だけは慎重に行き、無事通過。
上段は傾斜もきついので、左右どちらから巻こうかと思ったが、よくよく滝を見れば、ホールド、スタンスともにあって、難しい滝ではなかったので直登した。
そして、水無川流域最大と言われるF4の大滝(35m)登場である。
水量が少ないのが残念な大滝だが、35mというのはさすがに高い。私にはとてもこんなところは登れない。
F4は右から大高巻きである。最初は普通に登っていくが、左に曲がっていくあたりから一歩一歩慎重にいく。左に立木が現れると、ガレを逃れて立木を頼りに小尾根を登っていく。
この高巻きの途中で、ズボンに小さなヤマビルが一匹ついているのに気がついた。被害はなかったが、まだ活動していたのか〜。
かなりの大高巻きをした後、沢に戻ろうかと思ったが、やがて見えてきた沢はかなり下の方で、下りていくのもちょっと面倒。下りやすいところもあったのかもしれないが、適当に歩いていたのでわからなかった。大滝を巻いてしまうと、あとはガレた単調な沢になるというし、上の方を見ると稜線が見えていたので、無理して沢に下りることもないだろうと思い、そのまま登っていく。なんとなく踏み跡もあって、しばらく登っていくと、やがて政次郎尾根の登山道に出た。
政次郎尾根を登り、表尾根を書策小屋跡まで登ったところで、靴を履き替え、休憩にした。
くもっているわりには富士山がよく見えており、塔ノ岳まで登ったら予想外にいい眺めだった。
低いところにガスがかかっているようだが、これが水平線のように見え、普通の雲海とはまるで違う。
塔ノ岳から鍋割山へ向かうが、セドノ沢でけっこう時間を費やしていたので、先を急いだ。
鍋割山で休憩後、大倉へ向かって下っていったが、鍋割山出発がすでに4時を過ぎていたので、けっこう急いでいった。ミズヒ沢に下りたところで、渓流タビの泥を洗い流した後は西山林道を駆け下りていった。
秋の日はつるべ落としと言うように、日が暮れるのが早く、5時になるともうかなり暗くなってくる。それでもけっこう林道を歩いている人が多かった。大倉に着く前に真っ暗になってしまった人もいるのではないか。
午後5時半過ぎにもかかわらず、バスは満員だった。ちょっと下山が遅くないか?