不帰嶮と五竜岳

日付 :2008/08/02
コース:天狗山荘→不帰キレット→唐松岳→五竜岳→キレット小屋

 日が昇る方角にあいにくの雲で、御来光は見られなかったが、天気はまずまずよさそうで、天狗山荘から八ヶ岳や南アルプス、そして富士山も見えた。

八ヶ岳と富士山
八ヶ岳と富士山(天狗山荘から)
鑓ヶ岳
鑓ヶ岳(天狗山荘から)

 6時6分、天狗山荘を出発。右手前方には剱岳を見ながら歩いていく。
 不帰嶮はけっこうな難所らしいが、天狗山荘に泊まった多くの人が不帰嶮に向かう。唐松岳までは4時間半から5時間ぐらいかかるらしい。
 昨日はかなり日焼けしてしまったので、長袖を着ていくことにした。朝のうちは気温も低めなのでちょうどよかった。首にはタオルを巻いていくことにした。
 6時20分、天狗ノ頭を越えていくが、このあたりはまだなだらかで歩きやすい道である。
 やがて天狗ノ大下り。前方に不帰嶮や唐松岳、五竜岳などを見ながら、不帰キレットまで一気に急坂を下っていく。

不帰嶮、唐松岳、五竜岳
不帰嶮、唐松岳、五竜岳の眺め
不帰嶮と唐松岳
不帰嶮と唐松岳

 急坂を下りきって、7時9分、不帰キレットに到着。荷物を下ろして写真を撮る。

不帰キレットからの眺め
不帰キレットからの眺め
立山〜剱岳
立山〜剱岳

 7時11分、不帰キレットを出発。
 まずは一峰を登るが、ここは特に問題ない。7時26分、一峰に到着。
 一峰を越えると、二峰が全貌を現す。こちらは急峻であり、二峰の登りが一番の難所となる。

二峰 二峰の最初の登り
一峰を越えると二峰が全貌を現す(左)・鞍部から二峰の最初の登り(右)

 一峰を下って鞍部に立つと、二峰が垂直に近い角度で立ちはだかっている。
 二峰の登りはクサリの連続である。手掛かり、足場はしっかりあるので、登っていく分には難しいところはない。最初の登りの部分は、逆ルートで下る場合は怖いかもしれない。
 ひと登りすると、信州側に回り込んで岩壁をへつるようにバンド状のところをトラバースしていく。クサリはついているし、草付きで真下が見えないから恐怖感はない。右側に回り込んで岩場を登っていく。クサリ場が続くが、やはり最初の登りほどの恐怖感はない。
 8時6分、二峰に登り着くと、難所は終わりである。
 二峰に登ると、八方尾根から唐松岳の稜線も目の前に見えてくる。

二峰南峰から振り返る
二峰南峰で歩いてきた道を振り返る

 二峰から先は問題なく、三峰を越えて、唐松岳に登る。
 8時41分、唐松岳に到着。

天狗ノ頭、白馬鑓ヶ岳、手前に不帰嶮
唐松岳から白馬方面を振り返る
五竜岳
五竜岳(その右遠くには槍ヶ岳も)

 8時46分、唐松岳を出発。五竜岳を見ながら歩いていく。
 岩稜歩きとは言っても、不帰嶮のような難所があるわけでもない。不帰嶮もけっこう歩いていたが、唐松岳から先は八方尾根からの登山者が多いので、歩く人も多くなった。


五竜岳

 左から遠見尾根の登山道が合わさると、まもなく五竜山荘である。
 10時31分、五竜山荘に到着。ここでジュースを買って飲んだ。
 小屋の中はたいへん混んでいた。まだ10時半だが、早くも宿泊の受付をしているようであった。
 なお、五竜山荘では本日の宿泊者が相当多く見込まれるため、時間によっては本日中の下山をお願いする場合があるという貼り紙があった。
 10時34分、五竜山荘を出発。
 このとき、すでに五竜岳はガスがかかって見えなくなっていた。山頂に登っても何も見えないだろうと思ったが、しかたがない。
 五竜山荘から先はほとんど歩いている人がいなかった。どうやらみんな五竜山荘泊まりのようである。(山頂までの登山道ではほんの数人に会ったのみ。)
 ガスがかかっているから日焼けの心配もないだろうと、途中で上着を脱いでTシャツ一枚になった。
 ガスがかかっていて山頂は見えないから、どのくらい登ったのかよくわからない。しかし、尾根の右側を巻いている間はまだまだだなと思った。
 巻きが終わり、山頂までもう少しという頃になって、青空が現れた。全然期待していなかったので、ラッキーだった。
 11時22分、五竜岳に到着。山頂には他に何人かいた。
 北側はガスっていて何も見えなかったが、南側はガスはかかっておらず、鹿島槍ヶ岳がよく見えた。その右には槍ヶ岳や水晶岳なども見えた。

鹿島槍ヶ岳
鹿島槍ヶ岳

 11時36分、五竜岳を出発。五竜岳の南側は日が差していたので、またまた日焼けが気になる。
 ガレ場の急坂をジグザグに下っていく。急坂を下りきると、G4、G5といった岩峰を目指す。
 G4、G5のあたりは岩稜でクサリやハシゴが多いが、よくこんなところに登山道を設置できたものだと感心してしまう。

岩稜歩きで五竜岳を振り返る
G4、G5付近の岩峰通過中、五竜岳を振り返る
五竜岳と岩峰
G5を越えて一段落、五竜岳を振り返る

 1時18分、北尾根の頭に到着。険しい道をけっこう歩いてきたが、キレット小屋までまだ先は長い。
 ガレ場の急な下りがあったり、岩場の登りがあったり、もう少しかと思っても、まだまだ先は続いており、一向に小屋が見えてこない。
 最後にクサリのついた岩場を回り込んでいって、ようやくキレット小屋が現れた。

キレット小屋
キレット小屋

 2時36分、キレット小屋に到着。
 コースタイム的には1日目よりきついのでどうかと思ったが、1日目ほど登りは多くない分、体力的に余裕があった。しっかりと食事を取っていたこともあるだろう。不帰嶮や五竜岳などクサリ場が多い分、コースタイムは多めにみているということもあるかもしれない。不帰キレット〜唐松岳はコースタイムの半分で歩いたことになるのだ。

 さっそく受付を済ませ、ビールを飲んで休憩。
 キレット小屋は案外空いていた。縦走する人は案外少ないのかもしれない。五竜岳なら遠見尾根や八方尾根から五竜山荘に泊まって山頂往復すればお手軽だし、鹿島槍ヶ岳の場合は、扇沢からの往復ならば難所がない。だから、五竜岳〜鹿島槍ヶ岳を歩く人は案外少ないようだ。
 もっとも、私のあとにも夕方までポツポツと登山者がやってきたのでがら空きということもなかった。
 夕方、小屋の前のベンチに座って、夕日を眺めていた。ちょっと雲が多くて、日が沈むのを見ることはできなかった。

夕暮れ
夕暮れ

 部屋に戻り、横になってしばらくした後、体を起こして西側の窓を見れば、空が赤く染まっていた。終わったと思って横になっていたのだが、まだ終わっていなかった。というよりも、日が沈んだ後が本番だった。
 急いでまたカメラを持って外に出た。きれいに赤く染まり、剱岳もいい感じで見えた。

剱岳と赤く染まる空
夕焼け空と剱岳

 キレット小屋の夕食はなかなかよかった。味噌汁なども本当に美味しくて感心してしまう。
 小屋の中も随分ときれいだった。キレット小屋は白馬館グループの山小屋ということで、なんとなく納得。
 部屋はそれほど混むことなく、スペース的には余裕があった。多少、いびきに悩まされたりはしたが、まずまずである。しかし、けっこう喉が渇いて、夜中に何度か水を飲むことになった。

(1日目にもどる) (3日目に進む)


天狗山荘(6:06)→不帰キレット(7:09-7:11)→唐松岳(8:41-8:46)→五竜山荘(10:31-10:34)→五竜岳(11:22-11:36)→北尾根ノ頭(13:18)→キレット小屋(14:36)

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