北アルプス裏銀座縦走2(水晶小屋〜槍ヶ岳)

日付 :2005/08/05(2日目)
コース:水晶小屋→鷲羽岳→三俣蓮華岳→双六岳→槍ヶ岳

 寝返りもできず、ほとんどじっとしているほかなく、いびきはうるさく、朝までは絶望的なほど長い時間があった。そんな状態でもやっぱりいつしか眠るようで、まあ、少しは眠ることができた。
 4時になると、周囲の人たちが起きていく。半数の人が朝食をお弁当にしていたようで、早立ちの人も多かったようだ。人が減って、少しだけゆったりとしたところで、まだしばらくは横になって体を休めておくことにする。まだ寝ている人がいるのに、そのそばで、ぺちゃくちゃ話をされるのは迷惑な話である。話をするなら部屋の外でやってほしいものだ。人が減ったので、スペースも広くなり、軽くストレッチもやっておいた。
 やがて、外が明るくなってきたらしいので、カメラを持って外へ出る。
 日の出は5時前後だった。野口五郎岳の右手から日が昇った。

御来光
水晶小屋からの御来光(左は野口五郎岳)
槍ヶ岳
槍ヶ岳(水晶小屋から)

 朝食は2回に分けることなく、1回で全員が食べられた。半分はすでに出発していたからである。

 5時40分、水晶小屋を出発。鷲羽岳へ向かう。
 決して平坦ではなく、適度にアップダウンを繰り返していくことになる。昨日のような状態だったら、楽には歩けないところだが、一夜明けて、食事も十分に取り、なんとか元気に歩いていった。眠れなくても、横になって休めれば、とりあえず疲れは取れるのだ。
 鷲羽岳への道を半分ほど行くと、雲ノ平方面への分岐がある。今回は裏銀座縦走が目的だったので、まったく考えていなかったが、雲ノ平方面もなんだかすごくよさそうなコースなので、いつか行ってみたいと思った。
 6時30分、鷲羽岳に到着。山頂からは、眼下に鷲羽池、その向こうには槍ヶ岳が見える。槍ヶ岳まではまだまだ遠いが、それでも昨日のコースで遠くに見ていた水晶岳よりも近くに感じられるのは気のせいか?

鷲羽池と槍ヶ岳
眼下に鷲羽池、その向こうに槍ヶ岳(鷲羽岳)

 鷲羽岳から眼下に見える三俣山荘へは一気に下る。標高差約400m。
 7時8分、三俣山荘に到着。ここでたっぷり水を飲み、補給もしておく。これで一安心。

三俣蓮華岳
三俣蓮華岳(三俣山荘から)

 テント場を通って、三俣蓮華岳へ向かうが、テント場にある水場で顔を洗い、さらに水を飲む。冷たくておいしい。三俣山荘のあたりは、のんびりするには本当によさそうなところである。こんなところでテント泊している人たちがうらやましく感じられる。ガイドブックで、端正な鷲羽岳の下の高原の中にポツンと三俣山荘が建っている写真を見て、一番いいなと思っていたところだ。
 巻道の分岐から三俣蓮華岳へ登っていくと、登山道の左手には一面見事なお花畑が広がっていた。今回は、あちこちでいろいろな高山植物を見てきたが、本当に今年はお花畑が見事だった。
 7時56分、三俣蓮華岳に到着。山頂からの眺めもよい。やはり、今回のコースでは鷲羽岳〜双六岳あたりが、ハイライトと言えそうである。

水晶岳、鷲羽岳の眺め
右に鷲羽岳、中程奥に水晶岳(三俣蓮華岳から)

 双六岳へもちいさなアップダウンを繰り返していくが、昨日とはちがって、快調に進んでいった。
 朝、出発して、鷲羽岳へ向かう途中、「今日はどちらまで」と聞かれて「槍まで」と答え、双六止まりだったら、ちょっと恥ずかしいところだが、双六まででバテてしまうとは思えなかった。たとえ後半疲れてくるとしても、結局槍までは行ってしまうだろうと思っていた。
 8時47分、双六岳に到着。しかし、この頃には槍ヶ岳に雲がかかってしまった。
 双六岳から双六小屋への下りは、最初、しばらく広々とした平坦地が続き、晴れていれば、この上に槍ヶ岳が見えるのだが、肝心の槍の山頂付近に雲がかかってしまったのは残念だった。

槍ヶ岳は雲に隠れる
槍ヶ岳には雲がかかってしまった(双六岳)

 その後、普通に下って、9時22分、双六小屋に到着。ジュース買って休憩。昨日の残りのおにぎりを食べる。
 9時35分、双六小屋を出発。ここから、いよいよ本格的な登りとなる。三俣山荘付近と同様のんびりしたくなるようなキャンプ場を見下ろしながら、樅沢岳へゆっくりと登っていく。
 10時9分、樅沢岳に到着。
 一旦、下って、次のピークは右から巻いていく。その次は左を巻いていくと、前方左手に赤茶色の荒々しい稜線が見える。硫黄尾根は、周辺の稜線とはまったく雰囲気が異なっていた。
 なおも西鎌尾根を進んでいく。稜線の南西側を巻いているときは、ちょっと暑いが、北東側を巻いている間は、けっこう風があって涼しかった。西鎌尾根は今日のそれまでのコースと比べると、道は細く、険しいが、特段問題はない。クサリが付けられているところもあるが、クサリをつかまずとも登れるような道である。

西鎌尾根
次第に険しくなる西鎌尾根

 12時8分、千丈沢乗越に到着。ここから、いよいよ槍ヶ岳への最後の登りとなる。それで、ちょっと登ったところで、小休止。パンを一つ食べた。
 槍ヶ岳へ向かって、急な斜面を登っていくと、右下には飛騨沢から飛騨乗越への道をジグザグに登っている人たちの姿が見えた。
 西鎌尾根は、ところどころでポツポツと登山者に会ったが、数は少なかった。
 さすがに疲れもあるし、ゆっくり一歩ずつ登っていく。上の方にチラリと小屋が見えると、あと少しと元気づけられるが、すぐまた見えなくなった。さらにもう少し登ると、今度は人が見えた。山頂からちょっと下りてきたといった感じだったので、もう少しのはずだ。
 1時5分、槍ヶ岳山荘に到着。
 時間的にちょっと早かったが、山頂往復に1時間はかかるから、今日はここに泊まることにした。受付は列ができていたので、待ってる間に缶ジュース買って飲んだ。(ビールを飲むのはまだ早い!)
 受付済ませた後、山頂へ向かう。くもっていて写真に撮るものもないだろうから、カメラは持たず。(大事なカメラだ。首からぶら下げていって、岩にゴツンなんてことはしたくない。)
 1年ぶりの槍の穂先。やっぱり見上げれば、ものすごく急な登り。昨年は、全然気にならなかったが、今回はもしかして下りは怖いかも、と思ったが、実際は、別に恐怖感をおぼえることもなく、あっさり下りてしまった。慣れないと、けっこうおっかなびっくりの人も少なくないが、まあ、それはそれ、慣れていなければしかたがない。でも、慣れてしまえば、案外どうってことないところである。

 槍ヶ岳山荘に着いたときは、くもっていたが、山頂を往復した後、晴れてきて、槍の穂先もくっきり見え、東の方には常念岳なども見えてきた。

槍ヶ岳槍ヶ岳山頂付近
槍ヶ岳(槍ヶ岳山荘から)、右は山頂付近の様子

 昨夜は、まったく窮屈な思いをすることになったが、今夜は布団一人一枚で、ゆったりと寝ることができた。今回は、いびきに悩まされることもなかった。槍ヶ岳山荘は、大きな山小屋だから、昨年もゆったりと休めたし、今回もきっと空いているだろうと思っていた。当たりだった。


2日目に見た花

ミヤマリンドウ
ミヤマリンドウ
ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ
ウスユキソウ
ウスユキソウ(orミネウスユキソウ?)
タカネナデシコ
タカネナデシコ

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水晶小屋(5:40)→鷲羽岳(6:30-6:34)→三俣山荘(7:08-7:14)→三俣蓮華岳(7:56-8:00)→双六岳(8:47-8:53)→双六小屋(9:22-9:35)→樅沢岳(10:09)→千丈沢乗越(12:08)→槍ヶ岳山荘(13:05)

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