「ミレニアム6 死すべき女」

ミレニアム 6 上: 死すべき女ミレニアム 6 下: 死すべき女

シリーズ完結篇ということで、発売と同時に購入して読んだ。「ミレニアム」の作者スティーグ・ラーソンは三部作が世界的なベストセラーとなったが、第4部の執筆中に死去してしまった。 第4部からは他の作家(ダヴィド・ラーゲルクランツ)によるもので、はたしてどうなるかと心配したが、第4部を読んで、ほとんど違和感なく楽しむことができた。第5部も「なかなか!」のもので、当然、第6部にも期待された。 第6部では、ついにリスベット・サランデルと双子の妹カミラの対決となるのだが・・・ 正直なところ、第4部や第5部ほどすごくはなかった。普通におもしろかったが、期待が大きかっただけに、ちょっと・・・と感じたのは否めない。 ダヴィド・ラーゲルクランツはこれ以上「ミレニアム」を執筆することはないようだが、他の作家が執筆する可能性もあるようだ。とはいえ、ストーリーは完結しているし、これ以上はやってほしくないかな・・・


「丹沢に咲く花」

丹沢に咲く花丹沢自然保護協会発行の「丹沢に咲く花」が20年ぶりに改訂されたので、さっそく購入した。 丹沢で見られる花・約400種を掲載した図鑑である。これ一冊にすべてを網羅というわけではもちろんないが、代表的な花は網羅されているのでお手頃な一冊である。 なお、希少植物については、自然環境保全センターの「丹沢の希少植物図鑑」あたりを見るのがいいだろう。

「それまでの明日」

それまでの明日原尞さんの14年ぶりの新作「それまでの明日」が発表されたので、さっそく読んだ。1988年のデビューから30年となるが、長編小説はこれが5作目。他に短編集1冊とエッセイ集があるが、非常に寡作な作家である。長編小説も短編集も主人公はすべて私立探偵・沢崎である。チャンドラリアン(レイモンド・チャンドラーのファン)である原尞さんの小説はチャンドラーの世界を日本において再現しており、チャンドラーの小説を好きな人なら、原尞さんの小説も楽しんで読めるだろう。 チャンドラーも寡作で長編小説は7冊しかないが、こんなところも似ている原寮さんである。しかし、寡作ではあるが、はずれはない。今回もしっかり楽しませてもらった。次の作品がいつ発表されるかわからないが、気長に待つことにしよう。

「オリジン」

オリジン 上オリジン 下ダン・ブラウンの世界的ベストセラー、ラングドンシリーズの第5弾「オリジン」は人類の起源と運命をテーマにしている。 「われわれはどこから来たのか」そして「われわれはどこへ行くのか」 それが公表されれば、宗教の時代は終焉を迎える。 未来学者エドモンド・カーシュはそんなすごい発見をしたらしい。 ところが、世界中の注目が集まる中、発表直前にラングドンの目の前で殺害されてしまったことから、たいへんなことになる。 いったい、誰が敵で、誰が味方なのかもわからないまま事態は進展していく。 ラングドンはなんとかしてカーシュの発見を公表しようと奮闘するのだが・・・ いったい、カーシュの発見とは何なのか? グッゲンハイム美術館やカサ・ミラ、サグラダ・ファミリアなどの世界遺産を舞台としており、様々な美術品や建造物が紹介されて、ラングドンシリーズの他の作品と同様で楽しませてくれる。 後半、なんとなく不愉快な真実が見えてきた気がして、結末にはさほど衝撃はなかったが、だからといっていいとも悪いとも言えず。いろいろ考えさせられた。 人類の運命に関しては、まったく予想だにしない解答に、なるほどとうなってしまった。 やっぱり、期待を裏切ることない作品だった。

ミレニアム5 復讐の炎を吐く女

ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下別々に育った双生児が長じて出会ったら驚きに満ちたものになるだろう。もう一人の自分に出会うようなものだから。 リスベットとカミラの場合は幼少時に一緒に育ったこともあり、まったく状況は異なるが、これは極めて特異な例と言うべきか。 さて、この双子の研究に関わっていたのがレジストリーであり、リスベットが追っているものであるが、レジストリーの側も旧悪露見を阻止すべく過激な動きを見せるため、波乱は必至の展開となる。 それとは別に過激なイスラム原理主義者や刑務所にいながら不気味な影響力を持つ女囚との戦いもあって、終盤は息つく暇もなかった。 12月に発売されると、すぐさま買って読んでしまった。 「ミレニアム」の第6部は来年刊行予定だが、ダヴィド・ラーゲルクランツは第6部までしか書かないと言っているようなので、それで終わりとなりそうである。